<社説>まん延防止措置 変異株の拡大に備えよ

2021年4月10日 07時41分
 政府は東京都などを対象に新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」の適用を決めた。新規感染者が再び増えている。感染爆発を防ぐために感染拡大を抑え込む対策の実効性が問われる。
 政府の対策分科会の尾身茂会長は八日の会見で「新たなフェーズ(局面)に入った」と危機感を訴えた。
 その理由は関西圏で急拡大する変異株の存在だ。緊急事態宣言が解除されてわずか一カ月余りでまん延防止措置が適用されたが、急激に増える感染者に医療態勢が追いつかない状況になりつつある。
 政府は九日、東京都や京都府、沖縄県に対しても、まん延防止措置の適用を決めた。都は二十三区などを対象地域に定めた。大型連休を控え東京でも今後、関西圏で広がる変異株が拡大すると考えるのが自然だ。まん延防止措置の適用はやむを得ない。
 厚生労働省の専門家会議によると、関西圏などで広がる英国型の変異株は従来株に比べ、感染者一人が何人に感染させるかを示す実効再生産数が平均一・三二倍になる。重症化や死亡リスクも従来株に比べ高いことが懸念されている。最大限の警戒を図るべきだ。
 まん延防止措置は緊急事態宣言に至る前に感染を抑え込むことを狙うが緊急事態宣言との違いが分かりにくい。さらに多くの人が「コロナ慣れ」し危機感を持ちにくくなっているのではないか。
 その上、クラスター(感染者集団)の発生は多様化しており飲食店対策だけでは不十分だろう。社会全体の人の流れを抑える対策が不可欠だ。多くの人と接触する機会をどう減らすか知恵を絞る必要がある。政府には対策分科会の危機感を共有し、国民に確実に伝える責務がある。
 店舗の協力も引き続き必要だ。まん延防止措置で都道府県は店舗への営業時短要請・命令が可能となる。対策分科会などは自治体に対し店舗への巡回指導による対策の徹底を求めている。
 対策の実効性を高めるため、自治体に主体性を発揮するよう促す狙いだ。大阪市では職員らの巡回が実施されている。時短要請にとどまらず、自治体はもう一段の取り組みを示す必要がある。
 変異株は子どもにも感染を広げる可能性が指摘されている。学校現場の対策も点検してほしい。
 急激な感染拡大は医療を一気に逼迫(ひっぱく)させる。必要な検査態勢の強化と併せ病床確保を速めたい。

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