<社説>衆参で3選挙 政権の体質こそ争点だ

2021年4月10日 07時44分
 昨年九月の菅義偉首相就任後、初の国政選挙が参院の二選挙区で告示された。十三日告示の衆院補選と併せ、衆院選の前哨戦と位置付けられる。菅政権の実績に加え、その体質を問う選挙としたい。
 八日に告示されたのは参院長野選挙区の補欠選挙と同広島選挙区の再選挙で、いずれも自民党の公認候補と野党共闘候補との対決構図。自民党が擁立を見送る衆院北海道2区補選と併せて、名古屋市長選と同じ二十五日に投開票される。
 参院長野補選は立憲民主党の羽田雄一郎元国土交通相の死去に伴うものだが、参院広島再選挙と衆院補選はともに「政治とカネ」の問題を巡る議員の当選無効・辞職によるものだ。
 昭和から平成にかけての大型疑獄事件を受け、金権腐敗防止を目指した「平成の政治改革」を経ても、自民党内で旧態依然の体質が根強く残ることをうかがわせる。
 参院広島では、公職選挙法違反(買収)の有罪確定に伴い河井案里前議員(自民党を離党)の当選が無効となり、夫で元法相の克行被告(同)も買収目的を認め、衆院議員(広島3区)を辞職した。
 案里前議員の陣営には、自民党本部からほかの候補の十倍に当たる一億五千万円が支出され、これが大型買収の原資になったのではないか、との疑いも残る。
 克行被告は安倍晋三前首相や当時官房長官だった菅義偉首相ら政権中枢と近い関係だったにもかかわらず、安倍、菅両氏や資金提供の責任者、二階俊博幹事長らが説明を尽くしたとは言い難い。二階氏は広島での事件を「他山の石」と言い放ち、まるで人ごとだ。
 衆院北海道2区は、鶏卵汚職事件で収賄の罪で在宅起訴された吉川貴盛元農相(自民離党)の議員辞職に伴う補選だが、吉川氏も事件の説明をしないままだ。
 豊富な資金で議席を得ようとしたり、業者から職務に絡む現金を受け取ったりするなどの金権体質を不問に付していいはずがない。
 首相は新型コロナウイルス感染症を巡り「国民の命と健康を守り抜く」と強調してきたが、感染拡大は止まらず、対応が妥当だったか否かも問われるべきだ。
 菅政権発足直後、日本学術会議の会員候補の任命を拒否した問題も表面化し、総務省幹部への接待問題では、放送事業会社に勤める首相の長男の関与も発覚した。
 長期政権の驕(おご)りや緩みが有権者にどう審判されるのか。三選挙の結果は十月までに行われる衆院総選挙の行方を占うことにもなる。

関連キーワード

PR情報