「不服従運動」で市民ら抵抗 ミャンマー、デモと両輪で国軍に圧力…物価高で困窮でも持久戦覚悟

2021年4月11日 06時00分
ミャンマー北東部シャン州で4月上旬、ボランティアによる食料の無料配給=Ko Myint Thanさん提供

ミャンマー北東部シャン州で4月上旬、ボランティアによる食料の無料配給=Ko Myint Thanさん提供

  • ミャンマー北東部シャン州で4月上旬、ボランティアによる食料の無料配給=Ko Myint Thanさん提供
  • ミャンマー北東部シャン州で4月上旬、ボランティアによる食料の無料配給=Ko Myint Thanさん提供
  • ミャンマー北東部シャン州で4月上旬、ボランティアによる食料の無料配給=Ko Myint Thanさん提供
  • ミャンマーのヤンゴンで3月、ボランティアの市民による食料の無料配給=BBM Bakery提供
  • ミャンマーのヤンゴンで3月、ボランティアの市民による食料の無料配給=BBM Bakery提供
  • ミャンマー・ヤンゴンで3月、ボランティアの市民による食料の無料配給=BBM Bakery提供
 【バンコク=岩崎健太朗】国軍のクーデターから2カ月を過ぎたミャンマーでは、国軍の市民弾圧に加え、市民や政府職員が職務を放棄して抵抗する「不服従運動」(CDM)で経済や社会機能が麻痺している。物価高などを呼び込み、厳しい生活を強いられるが、運動は街頭デモとの両輪で国軍統治への圧力となっており、市民らは持久戦も覚悟している。
 最大都市ヤンゴンの医師アンデーラさん(33)は「食料品や日用品は品薄で、値上がりしている。兵士や警察の破壊や略奪で閉鎖した店も多い」と本紙の取材に嘆いた。民間医療機関に勤めていたが、クーデター後は組合主導の街頭デモやCDMに参加。弾圧で死傷者が相次ぐため、今はデモ参加は控え、食料や資金の提供、負傷者の手当に回る。
 国軍は勤務先から新型コロナウイルスのワクチンを奪ったともいい、「彼らは本当の強盗だ」と憤った。
 クーデターは昨年からのコロナ禍に追い打ちを掛け、企業や店舗、工場の多くは一時閉鎖した。国軍の圧力で一部のスーパーなどは再開したが、銀行の引き出し制限や流通停滞は続いている。中心部では車の往来が多い日もあるが、市民は必要最低限の外出にとどめ、人通りは少ないという。
 米や野菜、食用油、医薬品などは手に入るが、物価は2~3割上昇。世界銀行は3月、ミャンマーの今年9月までの1年間の経済成長率がマイナス10%に落ち込むと予測。コロナ禍でもプラスを維持できるとみていた昨年までの予測を下方修正し、10月以降の予測は見送った。
 「兵士や警官は、理由をつくって逮捕していく。皆おびえながら暮らしている」。数日前、近所に私服警官が踏み込み、知人が連行された60代男性は「CDMを応援したとの理由で、目についた金目のものを罰金と称して奪っていった」と明かした。「CDMへの協力を、国軍へ密告している者がいる」。地域住民の間に、疑心暗鬼が広がっている。
 「継続した経済や外交政策」をアピールする国軍は、統治の機能不全に対する焦りが強い。ミン・アウン・フライン総司令官は6日「CDMは国を破壊する運動だ」と非難。政府機関や企業の上層部に参加者の名簿を提出させ、職場復帰に従わなければ解雇や寮から強制退去させている。
 医師のチャンさん(25)は「困難な状況だが、自分や家族を守り、CDMを支える努力をしている」と話す。CDM参加者や犠牲となった市民の家族を支える寄付の仕組みが複数ある。民主派の「臨時政府」には900万ドル以上が寄せられているが、国軍は送金や電子決済システムの遮断も進めている。=文中仮名

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