<ヒューマンいばらき>石に魂吹き込む名工 桜川・真壁の石彫仏師 佐藤友昭(さとう・ともあき)さん(59)

2021年4月11日 15時36分

仏像の制作に励む佐藤友昭さん=桜川市真壁町塙世で

 石材産業で知られる桜川市真壁地区。田園地帯に囲まれた自宅前の工房で黙々と、御影石の文殊菩薩(ぼさつ)をつきのみで彫り起こしていく。石仏専門の石彫(せきちょう)仏師として四十二年。一昨年は厚生労働省の「現代の名工」に輝き、昨年は黄綬褒章を受章した。「頭で考えなくても、手が自然と動いていく。でもこうなったのはここ数年かな」
 花こう岩体が広がる加波山の懐に抱かれた真壁地区では、鎌倉時代から「真壁石」と呼ばれる良質な御影石が切り出され、江戸時代には城や神社、寺の建造に利用された。墓石や灯籠、土木に建築と今なお、さまざまな用途に真壁石が用いられている。もっとも、石彫仏師は全国的に少なく、真壁地区では、父新治さん(83)以外で本格的に手掛ける人はほぼいない。
 洋裁の仕事に就いていた新治さんが約五十年前、彫刻職人の夢をかなえようと、妻の郷里の真壁地区に一家で移り住んだ。高校生の頃から作品の粗削りや据え付けを手伝った。「跡を継げ」とは言われなかったが、その自覚はあった。
 一九八〇年代のバブル期には、先祖供養用の観音像などの注文が全国から舞い込んだ。ところがブームは長く続かない。少子化などの影響で管理が行き届かなくなった先祖代々の墓を撤去する「墓じまい」の増加や合同墓の普及などで石材需要は低迷した。中国産の安価な製品の流入が追い打ちをかけた。
 そんな苦境の中でも歩みを止めなかった。千葉市の円福寺には全長約四メートルもの涅槃(ねはん)仏を納品し、京都の本山から特別な称号を受けた。川崎市のアジサイの名所・浄慶寺の境内では、パソコンに向かうなど現代人をユーモラスに表現した五百羅漢像を配し、「SNS映えする」とネット上で評判になった。
 県内ではかすみがうら市加茂の南円寺で、仏教の始祖釈迦(しゃか)の生涯を数々の石仏で伝えている。
 仏像以外でも新境地を開いた。大阪府池田市の大阪教育大付属池田小学校では、前身の小学校を卒業した漫画家・手塚治虫の代表作「鉄腕アトム」の像が在校生の注目を浴びた。大洗町のアクアワールド県大洗水族館では、二頭のイルカがジャンプして顔を見合わせるモニュメントが来場者を温かく迎えている。
 作家ではなく職人を自任し、依頼主が喜ぶ作品づくりに腐心する。「仏像で一番大切なのは顔だが、仕上げた後にここをこうすればよかったと後悔ばかり。百点満点はない。だからこそ面白い」(出来田敬司)
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 作品の注文や問い合わせは、佐藤美術彫刻=電0296(55)3161=へ。

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