英国の元皇太子妃ダイアナさんが事故で亡くなった時、当時十五…

2021年4月11日 15時35分
 英国の元皇太子妃ダイアナさんが事故で亡くなった時、当時十五歳のウィリアム王子は悲しみのあまり、葬列に参加したくなかったそうだ。「もし、葬列で君が歩くのなら、一緒に歩いてもいいかな」。ふさいでいる王子にそう声をかけ、励ましたのは祖父だった▼当時の写真を確認してみる。うつむいて歩くウィリアム王子の横を、確かにその人は歩いている。エリザベス女王の夫、フィリップ殿下が亡くなった。九十九歳▼海軍兵学校時代、学校に遊びに来た十三歳の少女のエスコートを頼まれる。ハンサムなこの若者を少女が気に入り、文通が始まる。これが七十年余にわたり、女王を支えることになる、なれそめと聞く▼ロマンチックコメディーめいた筋立てだが、殿下の少年時代はそれとは違って甘くない。ギリシャの王族だった父親はクーデターによって国を追われ、家族はバラバラになる。十六歳の時には姉を飛行機事故で失っている▼あの葬列で孫に声をかけたのも自分の過去と関係があるのかもしれぬ。家族の大切さを痛いほど知っていた人だったのだろう。国を支えるのは女王。女王と家族を支えるのが自分。その役割を見事に果たした。環境問題への取り組みも輝こう▼率直なもの言いで時に失言もあったが、明るくユーモアにあふれた人だったそうだ。励ましと笑いと愛情を一度に失った方がおいたわしい。

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