火星でも米中が主導権争い!? 宇宙開発分野で進む中ロと民主主義陣営のデカップリング

2021年4月12日 17時00分
昨年7月23日、中国海南省の発射場から打ち上げられる火星探査機「天問1号」を搭載した大型ロケット「長征5号遥4」=CFOTO・共同

昨年7月23日、中国海南省の発射場から打ち上げられる火星探査機「天問1号」を搭載した大型ロケット「長征5号遥4」=CFOTO・共同

 中国初の火星探査機「天問1号」が、5月にも火星に着陸する見通しだ。火星への軟着陸と表面探査は技術的な難易度が高く、米国しか果たしていない。中国が成功すれば、念願の「宇宙強国」に大きく近づき、火星表面でも米中の主導権争いが本格化することになる。 (北京・坪井千隼)
 火星への軟着陸では、旧ソ連(ロシア)が失敗を繰り返し、2016年には欧州宇宙機関との共同計画も失敗した。米国は1976年に着陸に初成功して以降、何度も探査機を火星に送り込んでおり、今年2月には5台目となる探査車「パーシビアランス」の火星着陸を成功させ、走行試験も実施した。今後、土壌を採取して分析する計画だ。
 近年、中国も宇宙開発分野での躍進が著しい。2019年には世界で初めて月の裏側への軟着陸に成功。20年12月には、無人月面探査機「嫦娥じょうが5号」が、米国と旧ソ連に続き、44年ぶりに月面試料の持ち帰りを成功させた。
 中国は今年7月に共産党創立100年を迎える。火星探査計画の成功で宇宙開発の成果をアピールし、国威発揚を狙う。火星探査の主目的は学術的な内容だが、宇宙開発技術は軍事技術に直結し、米国との次世代戦争の鍵を握るとされる。
 天問1号は昨年7月に打ち上げられた。約4億7000万キロを飛行し、今年2月に火星周回軌道に到達。軌道を回りながら、観測を続けている。
 5月から6月にかけ、周回機から着陸機を分離、火星の北半球に位置する「ユートピア平原」に着陸させる。搭載した小型探査車が表面を走行し、土壌や大気の分析、過去の生命の痕跡調査も行う。周回軌道からの観測に続いて軟着陸、探査車による表面探査という3段階のステップを一気に行う計画だ。
 計画を手掛けている中国国有大手「中国航天科技集団」の包為民ほういみん・科学技術委員会主任は3月に行った記者会見で、天問1号について「(共産党創立)100年の歴史の交差点で、宇宙強国の偉大な夢をかなえるべく奮闘する」と力説した。
 宇宙開発で米中間の競争が激化する中、中国は自国と同様に米国との対立姿勢を強めるロシアとの連携も強化する。中ロ両政府は3月、月面や月周回軌道に研究拠点を共同建設する計画に合意した。研究拠点は長期的に運営し、月探査や宇宙観測、基礎科学実験などを行う。
 一方、米国は24年までの有人月探査を目指す「アルテミス計画」も推進しており、将来的な火星有人探査に向けたステップに位置付ける。計画には欧州や日本が参加。中ロは加わっておらず、宇宙開発分野でも中ロと民主主義陣営との「デカップリング(切り離し)」が進む。
 中国共産党機関紙、人民日報系環球時報は「米国は宇宙開発における絶対的優位を長期化させ、宇宙でのルールづくりを主導しようとしている。不公平だ」と批判。ロシアとの連携を強め米国に対抗していく重要性を強調している。

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