海外客断念なのに…73億円「五輪アプリ」の見直し迷走中

2021年4月13日 06時00分
 東京五輪・パラリンピックの新型コロナウイルス対策として、訪日観戦客の健康管理を行うアプリの開発が迷走している。3月に海外からの観戦受け入れを断念した後、政府が利用の仕方を決めかねているためだ。この「オリパラアプリ」は、開発する民間企業への委託費約73億円に対して当初から「高額だ」との批判が上がっていたが、政府は現時点で事業の凍結に向かわず継続する方針だ。(坂田奈央)

◆利用法未定なのに「事業継続」

 3月20日に海外からの観戦受け入れ断念が正式決定したのを受け、国民民主党の伊藤孝恵参院議員はオリパラアプリの今後の運用について質問主意書を提出した。これに対し政府が今月2日に閣議決定した答弁書は「運用方針などの見直しを検討中で、現時点でお答えすることは困難だ」と実質ゼロ回答だった。
 新たなアプリの利用方法が定まらないのに、政府は事業を継続する方針を崩していない。平井卓也デジタル改革担当相は「大枠については変更ない」と強調している。

◆当初は120万人利用を想定も…

 当初想定していたアプリは、訪日観戦客の健康状態の管理や記録のほか、感染が疑われる場合は警告するなどの機能が備わっていた。利用者は海外からの観戦客約80万人、大会関係者約40万人の計120万人を想定していたが、海外からの受け入れ断念で計画は頓挫している。
 大会終了後、訪日観光客用のアプリとして活用する計画があるものの、別の問題がある。中国人観光客の多くが使う中国製の「アンドロイド」搭載スマートフォンでは、アプリの入手が難しいことが判明したためだ。中国人は訪日外国人客の約3割を占める。
 そもそも変異株の流行で訪日客数が回復する見通しもたたない。立憲民主党の尾辻かな子衆院議員は国会で「(アプリ開発は)無駄遣いになるんじゃないか」と指摘した。

◆なぜ? 国内向け「COCOA」開発費の18倍超

 実際、オリパラアプリ開発のための委託費は73億円と、不具合が続出した接触確認アプリ「COCOA(ココア)」の3億9000万円の18倍超に上るため、野党からは開発中止を求める声も上がる。
 平井氏は「変更部分があるので(委託費は)減るのではないか」と示唆するが、内閣官房の担当者は取材に「最終的にどうなるかはまだ結論が出ていない」と答えるにとどまっている。

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