<社説>コロナ失業10万 生活支援に力を尽くせ

2021年4月13日 06時47分
 コロナ禍による失業者が十万人を超えた。企業内でも実質的に仕事がない人が増え、状況は深刻だ。暮らし支援の再拡充に力を尽くす一方、コロナ後を見据えた大胆な雇用対策に乗り出すべきだ。
 厚生労働省が八日に公表した調査によると、昨年一月末から今月上旬までに失業した人は十万四百二十五人。ただハローワーク中心の調査で、調査しきれない分を含めれば数字が十万人を大きく上回るのは確実だ。就業数の多い製造業に次いで小売りや飲食、宿泊が打撃を受けている。
 気になるのは非正規雇用で仕事を失った人が四万六千人超と高水準にある点だ。昨年五月以降の数字だが単純計算だと全体の半分近くを占める。暮らしに困窮する人は激増しているはずで非正規対策の強化は喫緊の課題だ。
 さらに指摘したいのは雇用は維持されたまま企業や店舗の中で仕事を失うケースだ。仕事の割り当てが激減し、休業手当を受け取れずに時短勤務や自宅待機を余儀なくされている人は多い。
 こうした「事実上の失業者」は数字の把握が難しく、支援の対象にもなりにくい。ただ内閣府が三月末に公表した調査では、国内企業には昨年十〜十二月期で二百三十八万人の余剰人員が存在する。働く時間を失い収入が激減している人は確実に増えており、支援を届ける仕組みの構築が急務だ。
 コロナ禍をめぐっては、東京など六都府県で「まん延防止等重点措置」が適用された。雇用の一層の悪化が懸念される情勢である。
 二月の完全失業率は2・9%と各国と比べ良い数字が出ているが、雇用の内実は厳しい。政府は雇用対策の軸に据える雇用調整助成金の特例部分を小さくする方針だ。だがこの対策に限らず雇用のための枠組みは、他の予算を削ってでも縮小せず続けるべきだ。
 政府は他企業との交流を促進する制度をつくった。一部企業でも人材を出向させる取り組みが進んでいる。希望とは違う仕事に就くため導入が難しい制度だ。
 ただ雇用を守るための非常時の一時的な仕組みとしてはやむを得ない。コロナ禍収束までは進めるべきだが、官民問わず運用には細心の注意も必要だろう。
 企業社会は生き残りをめぐり過渡期を迎えている。
 政府には足元の対策はもちろん、長期的な雇用維持に向け企業の大規模再編も意識したポストコロナ型の産業再生プランも期待したい。 

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