幻の戦闘機と学校の歴史探る 「秋水」実験場だった長野の高校生 横須賀で取材、映像に

2021年4月13日 07時18分

佐久間さん(右)の説明を受け、展示会場を取材する放送部員ら=横須賀市で

 第二次世界大戦末期、旧日本陸海軍が共同開発したロケット戦闘機「秋水(しゅうすい)」の実験場となった松商学園高校(長野県松本市)の放送部員三人が十一日、初めて確認された実験場の写真などを展示した横須賀美術館(横須賀市)を訪れ、展示会場の撮影や関係者のインタビューをした。取材内容は動画にまとめ、戦争について考える作品としてコンテストに応募する。
 取材のきっかけは、展示に協力した秋水研究の第一人者の柴田一哉さん(59)=東京都=が三月末に同校で行った記者会見。従来、実験場で撮影された写真は確認されておらず、技術将校や下士官、動員学徒、臨時採用の女性ら開発関係者とみられる二百人以上の集合写真など展示で初公開された写真を公表した。
 生徒たちは「秋水のことも、学校が実験場となったことも知らなかった」と口をそろえる。三年の澤柳壮一郎さん(17)は「敵を倒すための戦闘機のエンジンが学校で開発されたと知り、衝撃を受けた」と語る。二年の桑島直暖(なおはる)さん(16)は「知られざる学校の歴史を映像で残そうということになった」と説明する。
 三人がインタビューしたのは、技術将校だった父親が保管していた写真などを遺品として受け継いだ横須賀市の平田直俊さん(68)と、同市の秋水研究家の佐久間則夫さん(66)。秋水や戦争についての思いを尋ねた。二年の輪湖(わこ)小雪さん(16)は「取材を通して戦争について知りたい。映像を見る人たちにも伝えられたら」と話した。
 作品は八分間にまとめ、六月に県大会が開かれる「NHK杯全国高校放送コンテスト」に応募する予定。柴田さんは集合写真に写っている人などの情報提供を求めており、放送部は卒業生に情報提供を求め、判明した関係者も取材するという。 (村松権主麿)
<秋水> 米軍爆撃機B29迎撃用に、1944年7月にドイツから持ち帰られたロケット戦闘機の資料を基に開発が始まり、松本明道工業学校(現松商学園高)が陸軍のロケット噴射実験場となった。45年7月に横須賀市で飛行実験が行われたが失敗。終戦を迎えて実用化されず、「幻の戦闘機」と呼ばれる。

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