足腰の健康 靴ひもから 静岡の靴育協が正しい締め方を街頭指導

2021年4月14日 07時41分

海岸を散歩中の女性に靴ひもの正しい締め方を紹介する森千秋さん(左)=静岡市駿河区で

 東日本大震災から十年に合わせ、住民の脚力を高めて災害時の逃げ遅れを防ごうと、靴医学の専門家や看護師らでつくる一般社団法人「日本靴育協会」(静岡市)が「靴ひもマスター一万人プロジェクト」を進めている。正しい靴ひもの締め方を伝えることで、外反母趾(ぼし)や浮き指に代表される足のトラブルや、それに起因する腰や膝の痛みの改善につなげる狙い。住民間のつながりづくりも目指し、認定者を着実に増やしている。 (五十幡将之)
 プロジェクトでは、ウオーキングやジョギング愛好家が行き交う静岡市駿河区大谷地区の沿岸部の遊歩道を中心に、毎週水曜日に特設ブースを設置。スタッフが歩き方や姿勢の悪い人に声を掛け、正しい靴ひもの締め方を無償で指導する。
 足と靴の関係の研究で博士号を持つ同協会代表理事で、足に合う靴が見つからない人向けの靴工房を市内で営む森千秋さん(50)は「日本人の八割は靴のサイズが合っていない」と指摘。日本では靴を脱ぎ履きする機会が多いため、サイズが大きい靴を選びがちだ。しかし、靴が緩いと、歩くたびに靴の中で足が動いてぶつかったり擦れたりして指の変形や足裏のたこが生じやすく、足元がぐらついて膝や腰にも負担がかかる。
 十分間の指導では、大きな靴を履いている人にはサイズダウンを勧めた上で、靴の先の方のひもから、足の甲の一番高い部分に当たるひもまでを一つずつしっかり締める方法を紹介。特に甲回りのひもを強く締めて靴と隙間なく密着させることで土踏まずのアーチが保たれ、足指とかかとが靴底に着く。指間も広がって歩行の安定感が増し、膝や腰への負担も減るという=イラスト参照。ほどけにくい二重のちょう結びも教える。
 参加者からは「指が使える感覚が分かる」「踏ん張りが利く」などと変化を実感する声が上がり、思わず踊りだす人も。中には医師から「運動するように」と言われて歩いていたものの、靴の中で足が動いて膝の関節に負担をかけるなど、散歩が逆効果になったとみられる人もいたという。
 プロジェクトは一月から始め、指導を受けた人全員に発行している「靴ひもマスター認定証」は百五十枚を超えた。三年で一万枚が目標。参加者の足のデータをまとめて課題を洗い出し、今後の指導にも生かしていく予定だ。
 同協会は学校や公民館で出張講座も開催。静岡県松崎町では全町民の足の定期計測プロジェクトを展開している。「目指すのは地域の健康課題を地域で解決する仕組みづくり」と森さん。「『靴ひも結びは、縁結び』を合言葉に、受講者向けのフォローアップ講習会を開くなどして参加者同士のつながりも深め、防災に役立てたい」と話す。

◆サイズ違いにも注意

 金城大大学院(石川県白山市)の小島聖准教授らのグループが2018年に発表した調査結果では、同県内の小学生と高校生86人に、足のサイズに合った内履きを1年履いてもらったところ、足指が地面に着かない「浮き指」の本数が小学生の66.7%、高校生の74.4%で減少した。大きな靴を履いている子どもは足指の曲がりや膝痛などが発生しやすいとの報告も多数ある。日本靴育協会は「この傾向は大人も同様で、1サイズ異なるだけでトラブルが生じかねない」と注意を促す。

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