<新型コロナ>ワクチン接種、観光バスやホテルで 広がる民間委託、旅行会社が予約業務も

2021年4月15日 06時00分

接種の待機用の観光バスには、ビニールシートがかかっている=千葉県佐倉市の「なの花交通バス」で

 65歳以上の新型コロナウイルスのワクチン接種は5月以降に本格化し、全国では1カ月あたり、数百万人規模の接種が見込まれている。集団接種会場の設営や過疎地域での巡回接種、予約手続きなど自治体の業務は多く、民間に委託するケースも多い。コロナ禍で苦境の事業者にとっては、新たなビジネスチャンスにとの思いもある。(太田理英子)

◆「動く接種会場」過疎地も巡回できる

 「移動が困難な過疎地を巡回でき、企業などでの集団接種にも対応できる」。千葉県佐倉市のバス会社「なの花交通バス」は、自治体向けに大型観光バスを活用した「動く接種会場」を提案している。座席の一部を撤去し、バスの内部に待合所、問診票の記入所、接種スペースを設置した。
 ベッドを置くスペースもあり、接種後に体調を崩した人を処置する救急スペースも設けた。バスにはリフトが付いており、車いすの乗り降りも容易だ。接種用のバスのほか、接種後の15~30分の経過観察用のスペースとしてのバスも別途、用意する。

ワクチン接種のために改装した観光バス。車いすでも出入りしやすい

 現在、同県内の10自治体が活用を検討しているという。このほか、障害者ら自宅から動けない人の接種も想定し、ハイヤーを使った巡回接種も提案している。
 同社は修学旅行の中止が相次いだことなどにより、昨年は観光バスの稼働率が前年の2割に落ち込んだ時期もあった。国嶋通孝・取締役本部長は「仕事が減る中、フランスの路線バスが接種会場になったとニュースで知り、ひらめいた。他社でもバスの活用が広がり、車両の貸し借りなど互いに協力もできれば」と期待する。

◆天井まで7メートル、換気も万全

 集団接種会場には、利用が激減したホテルの宴会場を活用するケースが目立つ。「ロイヤルパインズホテル浦和」(さいたま市浦和区)は、さいたま市の集団接種会場に使われることが決まった。接種会場となる宴会場は天井までの高さが7メートルあり、換気も万全だ。担当者は「現在、大宴会場を使う機会はなかなかない。ホテルの側から市に活用を打診した」と明かす。

◆受け付けノウハウ、新たな営業機会に

 観光需要の低迷が続く中、予約受け付けのノウハウを生かして観光業者がワクチン接種の業務を請け負うケースもある。「日本旅行」(本社・東京都中央区)は全国100以上の自治体を相手に、コールセンター運営や予約システム管理、会場選定や会場での案内を引き受ける。
 担当者は「予約の管理はもともと得意業務で、(企業の会議や見本市などの)MICE事業の経験も生かせる。これを機に、コンサルティング業の営業にも力を入れていきたい」と話す。旅行大手「JTB」も複数の自治体からワクチン接種の業務受託をしている。

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