大変な時期の睡眠不足深刻 多胎児を育てる親ら調査

2021年4月15日 07時19分

多胎育児の調査を説明する中原美智子さん(右)=東京都内で

 育児が最も大変だった時期の睡眠時間は「4時間未満」が7割超−。乳幼児期の双子などの多胎児を持つ母親ら約1200人への調査から、こんな実態が浮かんだ。調査を行った当事者支援のNPO法人「つなげる」(兵庫県尼崎市)は「睡眠不足で母親の心身の健康が損なわれないように、支援サービスを適切に利用できる環境を整えるべきだ」と訴える。 (坂田奈央)
 調査は一月、インターネットで実施。回答者は母親が千百七十七人、父親が三十九人、祖母が二人で計千二百十八人だった。
 最も大変だった時期の睡眠時間は、「三時間」の回答が最多。四時間未満を合計すると70%を上回った。別の設問では、全体の75%超がこの時期の睡眠時間は「理想の半分以下」と回答。多胎児に向き合う中で、睡眠が満足に取れない状況が示された。
 自由記述でも「どちらかが寝たと思ったら、どちらかが起き、自分の寝る時間がない」「常に二人の新生児が死なないか、と気の休まるときがない」などの切実な声が寄せられた。
 「つなげる」代表理事で、自らも十歳の双子を育てる中原美智子さんは「支援活動を進める中で、特に問題なのが『睡眠不足』と『地域資源がうまく活用されていないこと』」と指摘。「『寝る時間のために、お金を払って育児サービスを使うのは申し訳ない』というママがいる。この意識をママ自身や家族から取り除かなければ」と話す。
 多胎育児を支援する民間サークルも各地にあるが、大変な時期が過ぎると参加頻度が減る傾向に。そのためサークル運営に継続的に関わる当事者が少なく、地域での活動が受け継がれにくい課題もあるという。

◆母親の健康悪化→虐待リスク高まる

 大阪市立大大学院教授の横山美江さんが、児童虐待相談の対象となった幼児約1万8000人のデータを分析したところ、多胎児の相談件数は単胎児の5倍もあった。多胎児というだけで虐待の要因になるわけではないが、「母親の健康状態が悪化した」「育児相談者がいない」「低出生体重児がいる」場合には、虐待リスクが高まるという。
 横山さんは「母親の健康状況を極度に悪化させないため、多胎育児の専門的知識を持った保健師などによる支援や、当事者同士のピアサポート活動を支援することが大切」と話す。
 ただ、出産後は日々の育児に追われ、相談や活動につながる手続きに出向くことすら困難な親がほとんどだ。横山さんは「虐待予防の観点からも、自治体が母子手帳交付時に多胎児の母親を把握し、妊娠中から積極的につながることが重要」と指摘。「出産前から使える行政サービスへの登録を促したり、民間の支援団体につなげたりすれば、出産後、円滑にサービスや支援を受けられる」と提案する。

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