被災の浜 食卓から支援 雑誌「婦人之友」の読者ら ワカメ購入/レシピも考案 宮城・石巻  

2021年4月15日 07時20分

小山厚子さん

 食卓から被災地の復興を応援しよう−。雑誌「婦人之友」の読者らが、宮城県石巻市の十三浜(じゅうさんはま)地区で養殖されたワカメを直接購入したり、レシピを広めたりする取り組みを続けている。呼び掛けを担うNPO「浜とまちをつなぐ十三浜わかめクラブ」代表で同誌の元編集部員、小山厚子さん(64)=仙台市=は「食べる人、作る人が自然のリスクを分かち合う関係をつくりたい」と話す。 (河郷丈史)
 婦人之友と十三浜地区の縁は、十年前の東日本大震災直後に生まれた。同誌で東北の地域情報を担当していた小山さんが「自分がやるべきことは震災を伝えること」と被災地の取材に奔走。その取材や生活物資の支援を通じて、浜の人たちと交流を深めた。
 漁師らは家も船も津波に流されたが、復興への第一歩にと震災の年の秋にワカメ養殖を再開。三陸沖の荒波で育ったワカメは、肉厚でシャキシャキした食感が特徴だ。「浜の人が希望を持てるような価格で全国の食卓に届けることならできると思った」と小山さん。二〇一三年、誌上で購入を呼び掛けたところ、大きな反響があった。婦人之友社と読者でつくる「全国友の会」、同社創業者の羽仁もと子、吉一夫妻が創立した学校法人「自由学園」(東京)も一体となって支援に取り組んできた。

収穫したワカメの湯通し作業をする漁師=宮城県石巻市の十三浜地区で(仙台市のカメラマン・松田哲郎さん撮影)

 春と秋の年二回、「婦人之友」「明日の友」の誌上や同社ホームページで塩蔵のワカメ、コンブを販売し、浜の人たちの復興への歩みなどの記事も掲載。各地の友の会メンバーが袋詰めを手伝ったり、自由学園の高校生がボランティアで現地を訪れたりもした。
 ワカメとコンブのレシピのアイデアも読者から募集。試作を繰り返して厳選し、養殖の仕事や浜の食生活とともに紹介する本「三陸わかめと昆布−浜とまちのレシピ80」(千五百四十円)を一七年に出版した。
 昨春から、わかめクラブが支援活動を引き継ぎ、ワカメなどの販売も担当。昨春は読者約千人と全国百二十以上の友の会から購入の申し込みがあった。生産者の一人で同クラブの現地責任者を務める佐藤のり子さん(57)は「支援してくれた皆さんのおかげで十三浜のワカメが全国に広がり、『おいしい』と言われるのがうれしくて励みになった。これからも期待に応えられるワカメを作り、家庭に届けていきたい」と話す。
 漁師の仕事は常に自然のリスクと隣り合わせだ。海が荒れれば、養殖ロープに種付けしたワカメが脱落することも。原因は特定できていないが、近年は海中の栄養塩が不足気味で、ワカメの生育への影響が心配される。「最初は支援のために浜に通っていたが、むしろ私たちの食卓が漁師に支えられていると感じるようになった」と小山さん。浜と家庭をつなぐ活動を、今後も続けるつもりだ。

◆限定「感謝セット」を用意

 わかめクラブは震災から10年に合わせ、塩蔵のワカメ・茎ワカメ・コンブ(各200グラム)と刻みコンブ(100グラム)の支援感謝セット(限定500個、送料含め1400円)=写真=を用意。再配本の「三陸わかめと昆布−浜とまちのレシピ80」に専用の購入はがきが付いている。今春の定期販売分は20日まで申し込みを受け付けている。(問)わかめクラブ=電022(797)8572、書籍は婦人之友社=電03(3971)0101

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