変異株は重症化しやすい? 感染スピードは違う? 専門家の見解<新型コロナ>

2021年4月16日 06時00分
 新型コロナウイルスによる重症者が大阪府と兵庫県で急増している。両府県では、変異株への感染者が推計で全体の約9割を占める。変異株は従来株より重症化しやすい可能性があるという。専門家は5月半ばには、全国の大都市圏で大阪同様に変異株が感染者全体の9割に達すると警告し、感染対策の強化を呼び掛ける。(沢田千秋、藤川大樹、太田理英子)

◆重症者の増加「第3波」の3倍

 大阪府では3月以降、1週間の新規感染者が毎週、1・5~2・3倍のペースで増えている。直近の4月7~13日は、1日平均の人口10万人当たりの新規感染者は約71人。東京都の3倍近い多さだ。
 重症者も「第3波」の約3倍の速さで増えている。14日時点で239人で、重症者病床はほぼ埋まった。変異株の重症者は発症してから平均6・5日で重症化しており、「第3波」の平均8日より短い。
 厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」の14日の会合では、大阪の重症者はいずれ400人を超すという試算も示された。会合後、メンバーの太田圭洋・日本医療法人協会副会長は「大阪が今必死になって重症者病床を確保しても乗り切れるかどうか、かなり厳しい数字」と危機感をあらわにした。

◆変異株が重症化に関与か

英国由来の新型コロナウイルスの変異株(国立感染症研究所提供)

 英国株などにみられるのが「N501Y」という変異だ。この変異が重症化に影響しているのか。
 英エクセター大学は3月、英国株による死亡率が従来株より「かなり高い」という研究結果を発表した。昨年10月~今年2月、変異株と従来株に感染した約5万5000人をそれぞれ調べたところ、死者は変異株が227人で、従来株は141人だった。
 一方、ロンドン大学などは12日に英医学誌で、英国株と従来株の重症化率に差はなかったと発表した。昨年11~12月の感染者約340人を調べたところ、重症化か死亡した割合は、従来株38%、英国株36%だったという。
 判断は分かれるが、鈴木基・国立感染症研究所感染症疫学センター長は「大阪のデータも踏まえれば、N501Y変異が重症化に関与していることは間違いないと思う。だが、実際にどの程度か、日本のデータでもう少し検討する必要がある」と述べた。

◆10代以下にも高い感染力

 東京都でも推計で、変異株は既に全体の5割程度ともされ、主流になるのは時間の問題のようだ。感染研は5月半ばには、首都圏や関西圏、中京圏で、感染者の9割はN501Yの変異株になると推測する。
 「感染拡大地域では変異株への置き換わりが早く進む」と鈴木氏。大阪のデータから、変異株の実効再生産数は従来株の1・32倍とされたが、首都圏のデータで分析すると、1・6倍でもおかしくないという。
 変異株は、若年層への感染力も高い。感染研によると、ゲノム解析で変異株への感染と確定した1159人のうち、10代以下は225人と2割を占める。
 専門家組織座長の脇田隆字・感染研所長は「従来株は10代以下の年齢層には比較的感染しにくかったが、変異株は他の世代と同じぐらい。学校でクラスターが発生することがあれば、ただちに対策を行う必要がある」と警告した。

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