海に流したトリチウム、福島第一原発「処理水」の5倍以上 茨城・東海再処理施設 

2021年4月16日 06時00分
 東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)で生じた汚染水を浄化処理した水の海洋放出が正式に決まった。放射性物質トリチウムが含まれるため漁業関係者らは反発を強めるが、実は首都圏には、福島第一に保管中の「処理水」に含まれるトリチウムの5倍以上を海に流してきた原子力施設がある。日本原子力研究開発機構の東海再処理施設(茨城県東海村)だ。廃止措置に入った今も排出は続いている。(宮尾幹成)

◆4500兆ベクレルを茨城沖に

 トリチウムは、汚染水を浄化処理する多核種除去設備では取り除けない。経済産業省によると、福島第一の処理水に残留するトリチウムは約860兆ベクレル。処理水は今後も増え続ける半面、海洋放出は30年程度かける計画のため、その間に半減期12・32年のトリチウムは一定程度消滅する。
 東海再処理施設は1977年から2007年まで、新型転換炉ふげん(福井県敦賀市、廃止措置中)や原発の使用済み核燃料を再処理した。30年間の処理量はウランとプルトニウム計1140トン分。原子力機構によると、その過程で約4500兆ベクレルのトリチウムを含む水を茨城沖の太平洋に流してきた。

◆核燃料再処理で全て外へ

 トリチウムは、核燃料のウランとプルトニウムに由来する「核分裂生成物」に一定の割合で含まれる。
 核分裂生成物は、トラブルなく運転されている原子炉なら核燃料を収めた金属製の被覆管に閉じ込められており、漏れ出るトリチウムは1万分の1程度とされる。だが、再処理の過程では被覆管が破られ、閉じ込められていたトリチウムが全て外に出てきてしまう。このため、再処理施設のトリチウム排出量は原発に比べ桁違いに多くなる。福島第一のような炉心溶融事故の場合も同じだ。

日本原子力開発機構の東海再処理施設(手前)と日本原子力発電の東海第二原発(後方)=茨城県東海村で、本社ヘリ「おおづる」から

◆施設廃止でも高い管理目標

 東海再処理施設は18年に廃止措置計画が認可されるまで、排水に含まれるトリチウムを年1900兆ベクレル未満とすることを管理目標にしていた。現在は目標を年40兆ベクレル未満まで下げている。
 ちなみに、同じ東海村内にある日本原子力発電東海第二原発の管理目標は年3兆7000億ベクレル未満。実際の放出量は09年実績で約7000億ベクレルだ。東海再処理施設の管理目標が、廃止措置に入っても依然として極めて高いことが分かる。

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