<ヒストリーいばらき>高萩出身の地理学者、社会科地図帳に掲載 「赤水図」中学生に誇り 郷土に思いはせ授業

2021年4月16日 07時21分

「赤水図」を社会科の授業で学ぶ生徒ら=高萩市で

 現在の高萩市出身で、江戸時代の地理学者・長久保赤水(せきすい)(1717〜1801年)が作った精密な日本地図「赤水図」が本年度、中学校の社会科の授業で使う地図帳(帝国書院)に掲載された。市教育委員会によると、社会科の検定教科書に赤水図が取り上げられるのは初めて。市内の中学校では早速、地図帳を使った授業が始まり、生徒らは郷土の偉人の功績に思いをはせていた。 (保坂千裕)
 市内の松岡中で十五日、地図をテーマにした一年生の社会科の授業があり、赤水図が登場した。
 まず、担当の渡辺浩実教諭(55)が黒板に地球を図示し、緯度と経度で世界の位置を正確に表すことができるとし、本初子午線(ほんしょしごせん)や赤道について説明した。
 次第に話題は世界から日本に絞られ、「では、日本の地図はいつ作られたと思うか」と生徒たちに問いかけると、数人から「三百年前」と返答があった。
 そこで渡辺教諭は、地図帳を開くように指示。「日本の地図で有名なのは誰?」と問うと、「伊能忠敬」と生徒が答えた。日本地図の変遷を説明したページには伊能忠敬の地図の隣に「赤水図」が並ぶ。渡辺教諭は「赤水は旅人から情報を得ながら地図を作ったと伝えられている。歴史的に価値がある」と説いた。

長久保赤水の「赤水図」(左下)が、伊能忠敬の「伊能図」(右)と並び紹介されている帝国書院の地図帳

 市では地域学習の一環で、小学校から赤水について学ぶ機会は幾度かあるが、社会科は初めて。授業を受けた山形樹生(たつき)さん(12)は「『赤水図』の北海道は少し違うかなと思うが、地元の人が地図を作ったことはすごいと思うし、うれしい」と話した。
 帝国書院は「赤水図」を掲載した経緯について「日本の古地図史で重要として扱った。赤水図という、かなり正確な地図があったということを知ってもらう意義もある」と説明する。地図の変遷は、中学社会科で教える内容の範囲から逸脱するものの、あえて取り扱ったという。
 赤水が、検定教科書に載るまでに知名度が上がった背景には、地元の団体の努力がある。一九九二年に赤水の子孫や地元住民で設立した「長久保赤水顕彰会」はこれまで、赤水の書簡の現代語訳二冊や、生涯を描いた漫画本を発行。当時百人だった会員数は、昨年の国の重要文化財(重文)指定もあり、今では全国で七百人弱にまで増えた。
 顕彰会は、重文指定を記念したファイルを作成し、この日、児童生徒の学習用として市に二千人分を寄付した。佐川春久会長(71)は「赤水ブームは来る。大河ドラマを目指し、世界中にある赤水の資料を集めていきたい」とさらなる意欲をみせた。

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