<社説>原発の運転禁止 東電は変われるのか

2021年4月16日 07時45分
 原子力規制委員会は、東京電力柏崎刈羽原発の核物質防護上の不備を巡って、事実上の運転禁止命令を出した。「運転資格なし」とも言える厳しい処分。これを機に東電は変わることができるのか。
 二〇〇二年八月、東京電力による不正が、当時の原子力安全・保安院から公表された。福島第一、第二、柏崎刈羽の三原発の自主点検記録に、部品のひび割れを隠すなど二十九件の改ざんが見つかった。「東電原発トラブル隠し」である。
 これを受け、東電は「四つの約束」を発表した。▽情報公開と透明性の確保▽業務の的確な遂行に向けた環境整備▽原子力部門の社内監査の強化と企業風土の改革▽企業倫理順守の徹底−の四点だ。
 だが、四つの約束が守られてこなかったのは明らかだ。
 他人のIDカードを使った中央制御室への不正入室、計十五カ所に上る侵入検知設備の故障、「誰がどう見てもお粗末」(規制委の更田豊志委員長)という代替措置…。今年一月以降に発覚した柏崎刈羽原発を巡る一連の不祥事は、東電のずさんな企業体質を、あらためて浮き彫りにした。
 「知識が足りなかったのか、それとも、なめているのか」。更田氏は怒りさえにじませて、東電に“レッドカード”を突きつけた。
 「四つの約束」からほぼ二十年。もし約束が守られて、地震や津波対策に真摯(しんし)に向き合っていれば、十年前の事故さえ防げたのではないか。その上、その事故の教訓も守られてこなかった。
 東電に原発を運転する資格がないのは明らかだ。
 福島の廃炉や原発事故の被害者救済という重い責任を果たしていくためにも、速やかに原発依存を脱却し、再生可能エネルギーを中心とする新たな収益モデルの構築を急がなければならない。
 東電の小早川智明社長は十四日、柏崎刈羽原発のある新潟県議会に参考人として出席し、「原子力事業の存続に危機感を持っている」と述べた。議場からは「企業風土そのものが問われている」などの批判が相次いだ。
 原子力事業だけではない。東電という企業が持続可能性を保つには、何よりもまず、信頼回復が欠かせない。重い処分を契機に今度こそ、東電は変われるのか。解決に内外の理解と納得が不可欠な原発処理水の処分問題に向き合う姿勢も、試金石になるだろう。
 このままでは東電に明日はない。

関連キーワード

PR情報