ようこそ!マイホームタウン  土屋礼央×国立

2021年4月28日 12時04分

作曲活動の原点になった街 国立

「国立駅で降りて家に帰るまでの25分間、田んぼ道を自転車で走りながら鼻歌で曲を作っていました。僕の作曲活動の原点ですね」
JR国立駅に降り立ち、街を眺めながら思い出を語ってくれたのは、ミュージシャンの土屋礼央さん。2001年にメジャーデビューしたアカペラバンドRAG FAIRのリードボーカルとして人気を博した土屋さんだが、現在は歌手や作曲などの音楽活動以外にも、ラジオパーソナリティ、落語家、文筆家など幅広いジャンルで活躍している。

現在も、年に1~2回は国立やご実家のある国分寺に訪れているそう。

自転車で通った道は、大切な楽曲制作の場所


そんな土屋さんが生まれたのは国分寺市だが、通学にはJR国立駅を利用していたという。
「最寄りは西武線でしたが、実家を出るまでは電車賃の節約を兼ねてJRの国立駅を利用していました。学生時代に、音楽サークルに入るために大学に入学しようと思っていたのですが、ある大学は入らずともバンドサークルに潜り込めるという話を聞いて、受験を辞めてフリーターになったんです。
サークル活動はしていましたが、ほかにも音楽の知識を身につけたり、音楽と関わりをもちたいと思って、週に一度、渋谷にあるカルチャースクールに通って音楽を学んでいました。その帰り道に自転車に乗りながら、頭のなかで鳴っている音楽を鼻歌にして曲をたくさん作っていたんですよね。世に発表している曲ですと、『夜散歩』もそのひとつです」
心地よいリズムと、まるで爽やかな風が吹き抜けるような土屋さんが生み出す楽曲の原点は、国立駅からの帰り道で形作られた。その後、バンドサークルの仲間に初めて曲を聴かせたことから、次第に世に出て、私たちのもとへと届けられるようになったのだ。
街の姿が、子どもながらにかっこいいと感じたJR国立駅。北口と南口があり、南口のロータリーからは、メインロードである大学通りが約1.2kmに渡りまっすぐに延びている。通り沿いには、おしゃれなカフェや老舗文具店、花屋などが軒を連ね、その先には木々に囲まれた一橋大学がある。春には通り沿いに植わる桜が満開になり、淡いピンク色がどこまでも続く景色が美しい。
「まるでパリのシャンゼリゼ通りみたいですよね。円形のロータリーも凱旋門と同じだなぁと。文教地区にするためにつくられた街なので、静かで、治安もとてもよいです。そうした街づくりに確固たる信念をもっているところが、子どもながらにかっこいいなと思いました。春の桜ももちろんですが、秋には天下市というお祭りがあって、大学通りにばーっと露店が並ぶんです。子どもにとって、こんなに楽しい日はないですよね。クリスマスのイルミネーションもきれいで、学生のときはデート場所でもありました。都心に行くよりも空いてますしね(笑)」

大の電車好きとしても知られる土屋さんは、2020年に再建された旧国立駅舎についても自身の想いを語ってくれた。
「まさか旧駅舎が戻ってくるとは思いませんでした! 僕が子どもの頃から中央線は、本数を増加する複々線化、それに伴って立体高架化するといわれていましたが、なかなか進まなかったんですよね。 さまざまな事情で複々線化はなされず、高架化だけは実行され、同時に国立の象徴だった駅舎は必要なくなるということで、取り壊されることに……。高校生のときにそれを知った僕はずいぶん胸を痛めました(笑)。国立の駅舎は最古の原宿駅舎に次いで、歴史の古い駅舎なんです。それを取り壊すなんてもったいないという声も多かったみたいで、部材を保管していたそうなんですよ。それを再び戻そうという気運が高まって、もう一度戻ってきてくれたんです。もはやプロジェクトXです!」
近代化はいいことだと思っているが、そのなかでも繋いでいけるものは大切にしたいと話す土屋さん。現在、旧駅舎はJR国立駅の南口で、国立の人々の待ち合わせや憩いの場として、さらには街の案内所として新たな役割を担っている。国立の街づくりについて知れる展示もあるので、訪れた際はぜひ立ち寄りを。

国立は、僕の価値観を作ってくれた場所


かつては山林だった国立だが、『理想の文教都市』を目指し、国立音楽大学や一橋大学が移転してきたことで街づくりがどんどん進んでいった。そんな国立は、土屋さんにとって『価値観を作ってくれた街』だという。
「国立は、『こういう街にしたい』という思いで道路を設計したり、街を整えていったことで、そこにお店が集まって今の形になったんだと思います。僕自身も行き当たりばったりというより、こういう人生にしたいという思いがあって設計図を描くタイプなんです。それはもしかしたら、国立の街のあり方を見てきたからかもしれません。大手チェーン店も多いですが、よく見ると国立の街に溶け込むデザインや設計にしている気がするんですよ。土屋礼央という人間も、歌や落語、さまざまな活動をしていますが、国立がそうあるように、どれも僕らしいものにしていけたらと思っています」
街を歩きながら、国立と自身の信念を照らし合わせ、真剣に話す土屋さん。すると、「礼央ちゃん、新しい曲聴いたよ~」と気さくに話しかける街の人の姿に、ぱっと笑顔で応え、穏やかな雰囲気に一転。これからも国立の街と同様に、穏やかさと信念を兼ね備えた土屋さんの姿を私たちに見せてくれるだろう。

◇国立図鑑 土屋礼央さんオススメスポット

ロジーナ茶房
国立の老舗喫茶店。学生街ならではのボリューム満点のメニューが魅力。「学生時代は部活の帰りにここに来て食べていました。安くて量が多いメニューは、学生にとっては最高。居心地がいいのでずっと居たくなります」
住所:東京都国立市中1-9-42
http://kunitachi.shop-info.com/units/36236/dgk040/
いたりあ小僧
昭和53年創業のスパゲッティ専門店。80種類以上の豊富なメニューから選べる。「誕生日はここで食べたいと親にねだっていましたね。あと、高校時代に店を貸し切ってパーティーしたことも。以前取材も行かせていただきました」
住所:東京都国立市東1-15-18
https://www.italiakozo.com/
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◇PROFILE
土屋礼央
1976年9月1日生まれ。東京都国分寺市出身。RAG FAIRとして2001年にメジャーデビュー。2011年よりソロプロジェクトTTREをスタート。RAG FAIR、ズボンドズボン、TTREの多くの楽曲で作詞作曲を手掛ける。2012年にプロデュースしたiPhoneアプリ「ダァセリエス」は56万ダウンロードを突破。2018年4月より東京都国分寺市の観光大使に任命。鉄道、Apple、FC東京、西武ライオンズを深く愛する。
2021年3月に書籍『ボクは食器洗いをやっていただけで、家事をやっていなかった。』(KADOKAWA)を発売。
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