<柳沢協二さんのウオッチ安全保障>米中対立回避訴えるべき 米国と共同歩調、戦争に巻き込まれる可能性

2021年4月19日 05時55分
 日本と米国が、外務・防衛担当閣僚安全保障協議委員会(2プラス2)に続いて首脳共同声明でも台湾に言及したことは、政府の意図がどうあれ、沖縄県・尖閣諸島の防衛と引き換えに台湾有事での日本の協力を約束した意味がある。中国への圧力になって抑止力強化につながるという前提だろう。だが中国は引き下がらない。つまり、抑止されない。台湾統一は、中国共産党支配の正統性に関わる最大の国益だからだ。
 そこで、緊張が一層高まる「安全保障のジレンマ」に直面する。台湾有事で日本が米軍を支援するということは、米中の戦争に巻き込まれるということだ。それは、典型的な「同盟のジレンマ」である。その心配があるからこそ日本は、米中対立を緩和し、戦争を何としても回避することを訴えるべきだった。
 共同声明は、中国との対話にも言及している。だが日本が米国の側につけば、対話はますます困難になる。さらに、先端通信技術における中国の締め出しでも米国と協力することがうたわれている。新疆ウイグル自治区への言及と合わせ、米中対立の焦点となる全ての点で米国と共同歩調をとることになった。
 中国は反撃として台湾と尖閣への軍事的圧力を強め、貿易面でもさまざまな圧力をかけてくることが予想される。その時日本はどうするのか。その展望なしに、米国の圧力に歩調を合わせるだけでは、外交とは言えない。(寄稿)

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