ミャンマー在住邦人拘束 容疑は「虚偽の流布」と当局 ジャーナリスト北角裕樹さん、「国軍、悪辣」と批判

2021年4月19日 22時41分
ミャンマーの最大都市ヤンゴンで2月12日、デモを取材する北角裕樹氏=本人提供

ミャンマーの最大都市ヤンゴンで2月12日、デモを取材する北角裕樹氏=本人提供

 【バンコク=岩崎健太朗】国軍による市民弾圧が続くミャンマーで18日夜、現地在住の日本人フリージャーナリスト北角裕樹さん(45)が拘束された。現地大使館が当局に抗議し、釈放を求めている。北角さんは2月下旬にもデモ取材中に拘束され、数時間後に解放された。今回は自宅から連行され、北角さんと特定した上での拘束とみられる。
 大使館などによると、同日午後7時50分(日本時間同10時20分)ごろ、ヤンゴンの自宅から警察に連行され、政治犯を多く収容する、ヤンゴン市内のインセイン刑務所に移された。インターネット上には、警官が自宅から書類などを押収していったとの付近住民の目撃情報が投稿された。当局は「虚偽の事実を流布した容疑。押収物はなく、本人にけがはない」と説明しているという。
 北角さんは新聞社などを経てミャンマーで活動。2月26日の拘束後も現地で活動を続け、自身の拘束時の体験やデモの様子をフェイスブックなどに投稿し「国軍側の悪辣あくらつさは枚挙にいとまがない」などと批判を発信していた。
 現地では、国軍の弾圧の様子を伝える市民らの摘発が相次ぎ、監視グループによると報道関係者だけでも65人が拘束され、なお34人が勾留中だ。ほとんどがミャンマー人で、北角さん以外の外国人では、ドイツの通信社のポーランド人男性記者が3月に13日間勾留後、罰金20万(約1万5000円)で国外退去となった。 

 ◆菅首相「邦人保護に万全を尽くす」

 菅義偉首相は19日、北角さんが治安当局に拘束されたことに関し「現地大使館で全力で事実関係を確認中だ。邦人保護には万全を尽くす」と官邸で記者団に述べた。
 

◆激動のミャンマーで告発した市民弾圧 日本政府は解放に全力を

 ミャンマーで治安当局に拘束された北角裕樹さんは、現地の緊迫した状況を発信してきた。
 商社勤務を経て新聞記者に。民間の公募で選ばれ、大阪市立中の校長に就いたこともある。2014年末に「激動のミャンマーを見届けよう」と、ミャンマーで発行していた日本語情報誌の編集の手伝いを始め、独立して日本語情報誌を創刊した。
 編集プロダクションも立ち上げて短編映画の製作にも関わり、17年には自らが監督、短編コメディー映画「一杯のモヒンガー」を製作、ニューヨーク映画賞など6賞を受賞した。
 映画を機にミャンマーの若手の役者を育てたいという思いも強めたという。そんな彼が、国軍のクーデター以降、マスコミやインターネットメディア、会員制交流サイト(SNS)などを使い、国軍の市民弾圧について告発を重ねた。
 彼の情報によってミャンマーの異常な状況を知り、私たちに何ができるかを考えることができた。国軍には、市民への弾圧を即刻やめ、北角さんらジャーナリストの早期解放を強く望む。日本政府にも北角さん解放に向けた救出に全力を尽くすことを強く求めたい。(望月衣塑子)

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