<かながわ未来人>ひらつか障がい者福祉ショップ運営協議会会長・高橋真木(たかはし・まき)さん(70)

2021年4月19日 07時07分
 「新しい商品をどうですか?」。平塚市役所一階ロビーでワゴンを連ねて平日に営業している「ひらつか障がい者福祉ショップありがとう」。売り子の障害者らとともにエプロン姿で気さくに接客する。
 二〇一四年七月に開業したショップの運営協議会会長を務める。市内と大磯町の福祉事業所二十九団体の障害者らが手作りした食品や雑貨、野菜などを販売する。「これだけ多くの事業所が力を合わせて一つの店をやるなんて他にない」と胸を張る。
 報道カメラマンに憧れ、高校卒業後、写真専門学校に通った。しかしアルバイトでかり出された現場で学生のデモ隊と警察が衝突する様に腰が引けて「挫折した」。親友に誘われ、二十一歳のときに障害者支援施設で働き始めた。
 「最初はどうしていいのか悩んだ。でもやりがいを感じるようになって」。二年目、障害者が組み立てた自動車部品を自動車メーカーに納める仕事の担当に。納品先で研修し、品質管理などを厳しく指導された。
 十五年間、部品メーカーや自動車メーカーを相手に汗をかいた。その経験は今に生きているという。「妥協せず、障害者が手掛けるにしても、いいものに仕上げないと。人との付き合い方も学んだ」
 施設運営者との考え方の違いから退職。数年間、別の仕事をした後、四十二歳で自ら障害者支援施設を設立した。市地域作業所連絡会会長に就くと、各施設が合同で開く展示即売会の充実を図った。年一回から四回に増やし、季節に合わせた商品をそろえた。そして市と協力し、さらに障害者の働く意欲を高め、市民の障害者への理解を深めようと常設化したのが、現在のショップだ。
 滑り出しから売れ行きは好調。一八年六月、市福祉会館に二号店を開いた。「売れると作る側の励みになり、工賃も増える。またスキルアップする」という好循環。開業から五年十一カ月の昨年六月、売り上げは総額一億円を超えた。
 商品企画や販売促進に知恵を絞る。パン作りが得意な二つの施設にカツカレーパンの開発を呼び掛けて購入客による人気投票をしたり、市に「平塚のオリジナルマスクを」と提案し、市のロゴ入りマスクを製作したり。「アイデアおじさん」と笑う。
 「ここを大事にして続けたい。いろいろな人が応援してくれるし、障害者のみんなにとって自分たちの店だから」 (吉岡潤)
<大所帯が強み> 「ありがとうの製品は労を惜しまず、きっちり仕上げられている。多くの事業所が互いに刺激し合うことで変化や工夫が生まれている」と平塚市障がい福祉課の武井悟課長。昨年3月、マスクが品薄状態のときに高橋さんの声がけで各事業所がそれぞれ個性的なマスクを製作し、1日で200枚以上売れるヒット商品に。高橋さんは「他の事業所の製品からヒントをもらえて、技術交流もある。それがいいんじゃないかな」と話す。       

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