<この人に聞きたいQ&A>家族の介護を可視化 重症心身障害児家族の会「にじいろ」代表理事・牛頭智子さん

2021年4月19日 07時08分

「大事なのは子どもたちの将来」と話す、NPO法人「にじいろ」の牛頭代表理事=熊谷市で

 NPO法人「にじいろ」(重症心身障害児家族の会)は、熊谷市との協働事業で「在宅の身体障害児とその家族の生活に関するアンケート」を実施し、結果を冊子にまとめた。食事や入浴の介助など、身体障害児の家族がどのようなことに困っているのかを可視化。「にじいろ」の牛頭智子代表理事(48)に調査の意義を聞いた。 (渡部穣)
 −調査のきっかけは。
 例えば、子どもが成長して体が大きくなるにつれて困るのは入浴介助。でも、「お風呂が大変だからどうにかして」と私が個人的に助けてもらえたとしても、それだけで終わってしまう。より多くの子どもや家族につなげていくため、「みんな同じことで困っているんだ」という「事実」の「根拠」が必要だった。
 −三月に調査の報告会をラジオで生放送した。
 新型コロナウイルスの感染拡大で、会場に集まることができなくなった。地域コミュニティーラジオ「FMクマガヤ」に依頼したら快く引き受けてくれた。より多くの人に聴いてもらうことができた。報告会の様子はユーチューブでも見られる。
 −団体の目的は。
 学校の行き帰りだけで社会との関わりが持てない障害児の居場所となる「放課後デイサービス」を求めたのが最初。今は身体障害の子どもがいるのが当たり前として暮らしていける社会になるため、自分たちの存在を広く知ってもらうこと。アンケートで発信することで、福祉事業者や医療関係者の方々が私たちのニーズを知ることもできる。
 −強調したいことは。
 介護というと高齢者のことが中心。「子どものことは親が見られる」という考えが根強く、子どもへの(公的な)介護は圧倒的に不足している。例えば親がけがをしてお風呂に入れてあげられなくなったときなど、困っている親がいっぱいいる。調査をしたことで、想像がふくらんでくれることを期待している。
 −今後は。
 自分たちの苦労を発信できない家族や子どもたちの代弁者であり続ける。大事なのは子どもたちの将来。「何がしたいのか」「どうしてほしいのか」を当事者が発信し続けるのが大事。家族だけで頑張るのは無理。もっと公的なサービスを使ってもいいんだと、言い続けたい。きょうだい間で子どもが子どもを介護することもある。家族の介護で苦労する「ヤングケアラー」を増やしてはならない。
<ごず・ともこ> NPO法人「にじいろ」代表理事。重症心身障害の子どもの居場所づくりのため、同じ悩みを持つ母親らが集まって2013年に任意団体を立ち上げ、18年にNPO法人化。重症心身障害とは、重度の肢体不自由と知的障害が重複した状態。

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