再生エネの2030年度目標、現行より2割増は高いの? 民間団体要請と隔たり大きく

2021年4月20日 06時00分
 経済産業省は今月、2030年度に再生可能エネルギーで発電できる電力量の推計値を公表した。現行目標より最大2割以上多くなるとの内容だ。それでも再生エネ推進団体や欧州各国の目標には及ばない。先週の日米首脳会談で米国と「気候パートナーシップ」を結んだ日本。温室効果ガス削減に向けてこの夏に見込まれるエネルギー基本計画の改定で、高い再生エネ普及目標を掲げられるかが問われる。(妹尾聡太)

◆経産省の推計、発電能力から試算

 経産省が有識者会議に示したのは、「30年度は2903億キロワット時以上の再生エネ発電が可能」とする推計値だ。
 これは発電に占める再生エネの割合が18%だった19年度の5割増に当たる電力量で、22~24%を目指す現行の30年度目標と比べても約2割多い。予測できる太陽光や風力などの発電能力を積み上げた上で、再生エネ政策を強化したケースを想定した試算という。
 推計値について有識者会議の委員からは、十分に達成が予測できる内容で「保守的だ」(東京大の高村ゆかり教授)との声が出た。だが発電施設に適した土地が少なくなってきたことなどを理由に「楽観的だ」との見方もあり、意見は分かれた。

◆電力需要減れば、再生エネ比率30%台も

 再生エネの電力量の予測は示した経産省だが、全体の電力量に占める再生エネ比率の推計値はまだ算出していない。そこで本紙は従来の政府の想定と同様に全体の発電電力量を1兆650億キロワット時と仮定し試算。その場合の再生エネ比率は27%以上となった。省エネを進めて全体の電力量が減れば、30%台も見えてくる数値だ。

◆民間団体は50%を要請

 では30%前後の比率は高いのか低いのか。言えるのは、高い目標を掲げて投資拡大や技術革新につなげたい民間団体の提言などより低いということだ。
 事業運営に必要な電力を100%再生エネで賄う目標を掲げる国際企業連合「RE100」に加盟するソニーなど50社超は30年度目標を50%にするよう政府に要請。経済同友会も40%を求める。欧州との差も大きい。欧州連合(EU)は30年の域内再生エネ発電比率が57%になると推計。比率が比較的低いフランスも40%の目標を立てている。

◆確実な予測にこだわる経産省

 米国主催で22日から開かれる気候変動サミットには日本も参加する。各国と並んで地球温暖化対策を強化するには、さらなる再生エネの拡大策が求められそうだ。ただ経産省の担当者は「当然さらに上を目指すが、根拠がなければ国際社会に説明できない」とし、確実な予測を積み上げる考えを強調している。
 日本が再生エネ比率を高める上で、今後10年間に上積みの余地がありそうなのが太陽光だ。政府は、自治体が太陽光などの「促進区域」を定められる規定を設けた法案を提出。住宅の屋根や荒廃農地での設置促進策なども検討している。現実的になれば、経産省は予測値に算入する考えだ。

 エネルギー基本計画 国のエネルギー政策の土台となり、予算や税制、規制などに影響する重要な計画。おおむね3年ごとに見直す。2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするとの政府目標を踏まえ、今年の改定論議では、30年度の再生可能エネルギーや火力、原発の発電比率の目標をどう定めるかなどが焦点になっている。

関連キーワード

PR情報

主要ニュースの新着

記事一覧