100年後の子規ファンに瓦でメッセージ 台東の旧居跡 土蔵修復へ

2021年4月20日 06時35分
 俳人・正岡子規(1867〜1902年)の旧居「子規庵」(台東区根岸2)の敷地にある土蔵「子規文庫蔵」の修復工事などの費用に充てるため、一般財団法人「子規庵保存会」(田浦徹代表理事)は蔵の屋根瓦の寄進を呼び掛けている。1枚5000円。瓦には未来へのメッセージが記入でき、100年後の子規ファンに読まれるかもしれない夢のある「タイムカプセル」のプロジェクトだ。 (井上幸一)

修復工事中の子規文庫蔵の前で、寄進された瓦を手にする保存会のスタッフ=いずれも台東区で

 都指定史跡の子規庵は、晩年の子規が三十四歳で亡くなるまで住んだ木造の建物。空襲で焼失したが、一九五〇(昭和二十五)年に再建された。文庫蔵は遺品や遺墨の保管のため二七(昭和二)年に建立。戦禍を逃れ、貴重な品々を守った。老朽化のため、都と台東区の補助を受けて修復工事が二〇一九年から始まった。
 庵を所有し、管理や運営をする保存会によると、当初は土壁、鉄扉の補修など比較的小規模の計画だったが、調査すると予想以上の劣化、腐食が判明。一部の柱の交換、土壁の下地の竹小舞から復元する大規模工事に変更された。工期は来年三月までと約一年半延長され、総工費は約三千万円となり、財政難の保存会の負担も増大した。
 会では工事を見学してもらい寄付を募る予定だったが、コロナ禍で庵の一般公開ができず不可能に。工事が進み、五月下旬から屋根瓦のふき替えに入るため、メッセージ込みでの瓦の寄進の呼び掛けを始めた。
 「次の蔵の修復工事はおそらく百年ほど後。その時に読んでもらうと想定し、自由に好きなことを書いてほしい」と広報担当の斉藤直子理事(77)。寄進された瓦には「今でも『こごめ大福』召しあがってますか?」と地元の和菓子店主が問いかける記述や、現在のコロナ禍を記録したものなどがある。

子規庵で、寄進した瓦にメッセージを書き込む人たち

 公開中止は続いており、瓦に油性マジックで記入する庵での寄進イベントは、感染防止のため予約制(先着順)。十八日に訪れ、「やせへちまわれも佛(ほとけ)の句座の辺(へ)に」と、あちらで子規の句会に加わる願いを五・七・五で記した上野重光さん(77)=葛飾区=は「子規は近代文学の原点。微力ながら蔵のための活動に参加できるのは名誉なこと」と話した。
 寄進イベントは今後、二十一、二十五、二十九、五月二日に実施予定。予約は原則メールからとなるが、イベント開催日の午前十一時〜午後二時は電話=03(3876)8218=でも受け付ける。郵送での寄進(瓦への代筆も可)も歓迎する。詳しくは、子規庵のホームページへ。

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