<社説>コロナと首相 状況認識が甘くないか

2021年4月20日 07時58分
 新型コロナウイルスの感染拡大は専門家から「第四波」と指摘される状況だ。しかし、菅義偉首相は訪米前「全国的な大きなうねりとまではなっていない」と語っていた。状況認識が甘くはないか。
 緊急事態宣言は二月末から三月にかけて相次いで解除されたが、感染は再拡大し、十都府県で適用されている「まん延防止等重点措置」も現時点では十分な効果が得られていない。大阪府や東京都では再び政府に対し、宣言発令を要請せざるを得ない状況だ。
 感染拡大防止と経済活動の両立が難しい課題であることは理解する。対応が手探りになることも、ある程度はやむを得ない。
 ただ、感染拡大状況を見ると、対策が的確だったのかとの疑問は残る。変異株による急激な感染再拡大も、宣言解除が早かったことも影響しているのではないか。
 感染症対策分科会の尾身茂会長が「第四波」との見方を示したにもかかわらず、首相がなぜ否定する発言をしたのか疑問だ。いくら危機感があると主張しても、国民に伝わらず、若者の「路上飲み」などを許しているのではないか。
 自民党の二階俊博幹事長は東京五輪・パラリンピックについて感染がさらに拡大した場合「とても無理と言うならやめないといけない」と中止の可能性に言及した。
 首相は「開催に向けて感染防止に万全を期す」と述べたが、状況認識の甘さの背景に、開催への固執があるのなら看過できない。
 ワクチンは感染対策の決め手であり、首相は米製薬大手ファイザー社の最高経営責任者(CEO)との電話会談で追加供給を受けることで合意し、九月までに十六歳以上の国内対象者全員分を確保できる見通しになった、という。
 ただ、首相は当初、確保時期を今年前半としたり、六月が目標だと明言したりした。なぜ遅れるのか、当初の調達契約に不備はなかったのか、検証が必要だ。
 安倍前内閣当時、感染症対策を実質的に決定していた首相、関係閣僚らの「連絡会議」が菅内閣では一度も開催されておらず、政策決定過程がさらに不透明になっていることも分かった。
 こうした政権の不透明さも首相のメッセージや対策への不信感につながっているのではないか。
 首相は、国民の命と暮らしを守り抜くという原点に立ち返り、感染状況を深刻に受け止め、感染拡大防止に向けて自らが先頭に立つ断固たる決意と、誠意あるメッセージを国民に発するべきである。

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