渋谷ファッションをオンラインで 区が後押し、通販サイト誕生

2021年4月21日 07時04分

今年3月に渋谷のスクランブル交差点で開催されたファミリーセールの服を使ったファッションショー

 渋谷や原宿のファッションをネットで買えるECサイト「シブヤ・ファミリーセール」が、おしゃれ好きな若者を中心に注目を集めている。ファッションの街らしく、渋谷区が立ち上げに関わっている、いわば「区公認」で、約30店舗が最大90%オフで出品中。コロナ禍で外出しにくい今、オンラインで渋谷のショッピングを楽しめる。

シブヤ・ファミリーセールのトップ画面

 サイトにアクセスすると、カラフルな服を着たモデル十数人の写真が飛び込んでくる。半袖の麻のワンピースやオレンジ色のスニーカーなど約三千点がずらり。スタイリストがブランドを横断してコーディネートを提案するページもあり、丸ごと一式購入もできる。「ウインドーショッピング」を楽しむ人の七割が女性。年齢別では、二十五〜三十四歳が最も多く、約四割を占める。
 出店するのは、区内に本社や店舗がある企業か、区を拠点に活動するブランドやデザイナー。セレクトショップ「トゥモローランド」「ユナイテッドアローズ」、原宿の古着店「ベルベルジン」なども名を連ねる。サイトの責任者で一般社団法人「渋谷未来デザイン」の久保田夏彦さん(51)は「どれだけ安くても、僕たちは出店側が提示した値段のまんまで掲載します」と笑う。

サイト責任者の渋谷未来デザインの久保田夏彦さん

 売られているのはシーズンを終え店頭に並ばなくなった「経年在庫」。だから安い。
 サイト設立のきっかけはコロナ禍で渋谷から客足が減少したことだ。「渋谷という街を一番特徴づける業界がファッション。街がサポートしないといけない」と久保田さん。窮地に追い込まれたファッション業界を救う手段を考えた。
 サイトの実質的な運営を担うファッションPR会社「ワンオー」(同区)の取締役、岡安一剛(かずたけ)さん(39)は渋谷で長年ファッションイベントを開催しているが、「インバウンドでにぎわっていた通りには数多くの空き店舗がある。外資で体力がある店以外は経営が厳しいはずだ」と窮状を説明する。
 久保田さんや岡安さんが渋谷のファッション業界と対話を重ねると、「ECサイトを運営してほしい」という声があがった。個人店舗ではサイト運営まで手が回らないという。
 こうして昨年十月、渋谷の産業支援を目的に、区や同法人などが実施したクラウドファンディングの一部をもとにオープン。サイトへの出店は無料。店側はサイト側に服を送るだけ。サイト側が服を撮影して投稿、販売。店側は、手数料を引いた金額を、売上金として受け取る仕組みだ。

サイトにアップする衣服

渋谷区の青山スタジオでサイトにアップする服を撮影するカメラマン

 店舗からは歓迎する声があがる。裏原宿に二年前から店を構えるブランド「ハイパンダ」は今年三月に出品を始めた。店長の伊藤郁也さん(27)は「人件費も削減したい中、サイト運営してくれるのはありがたい。店舗に足を運ぶ機会がなかなかない今、自分たちのブランドを知ってもらえるきっかけにもなる」と話す。
 長谷部健区長は「国内外の人が渋谷の街を訪れることが難しい状況が続いている。区としてもサイトを応援していきたい」とコメントした。
 今年三月には、サイトのコーディネートを使ったファッションショーを渋谷スクランブル交差点で実施し、動画で配信した。課題は知名度アップ。久保田さんは「大手ブランドが多数出品している強みを生かして集客を図り、小さいブランドの商品も売れるようにしたい」と話した。
 シブヤ・ファミリーセールへのアクセスはhttps://shibuyafamilysale.com
 文・山下葉月/写真・市川和宏・山下葉月
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