<身元保証を考える>支援のための預託金 健全で透明な運営を模索

2021年4月21日 07時35分
 身寄りのない高齢者らの身元保証や生活を支援する団体は、全国に百以上あるとみられる。事故や急病など緊急時の対応に備え、契約時に「預託金」を求める団体が多いようだ。二〇一六年に発覚した公益財団法人「日本ライフ協会」の預託金流用問題を教訓として、健全で透明性の高い運営を模索する動きもある。 (佐橋大)
 関東や東海地方の高齢者約四千六百人に身元保証サービスを提供しているNPO法人「きずなの会」(名古屋市)。パンフレットには、「一般用の基本プラン」として百九十万円の預託金を示している。内訳は、入会金や手数料など必須の費用が七一・二万円。残りの一一八・八万円は、入院や施設入所時の身元保証支援(一九・八万円)、通院の付き添いなどの生活支援(三十三万円)、葬送支援(六十六万円)など、サービスを利用した場合にかかる費用の前払い分だ。
 預託金は全額、提携する弁護士法人に預けている。同会専務理事の小笠原重行さん(66)は「契約者を支援していくために必要なお金で、二十四時間体制で対応するスタッフの人件費など、それなりの額が要る。二十年前の会発足時から、流用が起きない仕組みを取っている」と説明する。
 身元保証の費用は契約時に一括で支払い、何度でも支援を受けられる。緊急時の駆け付けや死後の手続きの手数料、葬儀の費用は、その都度、預託金で賄い、不足分は追加で徴収。死後の残金は、弁護士法人が相続人に返還するという。

◆サービスごと契約

 一方、司法書士らが立ち上げた一般社団法人「終活コンシェルジュ」(東京)は日本ライフ協会の問題を受け、一七年から預託金なしのサービスに切り替えた。「身元保証」「死後事務」など細分化したサービスごとに契約金や管理費を求めている。
 身元保証では、契約金二十万円や毎月一万円の管理費を緊急時に対応する職員の人件費に充てる。施設利用料の未払いには債務保証の保険商品で備え、保証金として初年度二万円などを利用者に払ってもらう。「金銭的な透明性を高めた」と同法人参与の中川淳さん(59)。これまでに延べ約千二百人と契約したという。

◆周囲に相談しよう

 上智大総合人間科学部教授の栃本一三郎さんらが一八年にまとめた報告書によると、身元保証支援団体は全国に約百あり、詳細な調査に協力した二十五団体のうち、「預託金がない」と答えたのは四団体。預託金のある団体の半数以上が自前で管理し、信託など第三者による保全措置を取っていたのは四団体だった。
 栃本さんは「預託金の目的や、どの時点で差し引かれるかも団体ごとに異なり、仕組みを理解するのが難しい」と指摘。自身も作成に関わった日本総合研究所(東京)のチェックリスト=表=も参考にしながら、地域包括支援センターなど周りと相談して契約先を決めるよう呼び掛ける。預託金を内部で管理している団体の場合、外部からチェックする仕組みがあるかも確認するといいという。
 身元保証などに関する本「おひとりさまの死後事務委任」(税務経理協会)の共著者の行政書士、吉村信一さん(36)も、団体選びのポイントとして預託金の管理の仕方を挙げる。「預託金が流用されると、サービスが受けられなくなる可能性がある。自分が求めるサービスを明確にし、ライフステージごとの費用を確認することも大切」と助言する。

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