漫画で知る パラスポーツ 東京パラ開催で続々刊行

2021年4月22日 07時06分

集英社から創刊された「パラリンピックジャンプ」。これまで4冊出ている

 東京パラリンピック開催決定を機に、パラスポーツを題材にした漫画が続々登場している。興味を持ってもらうためにスポーツとしての魅力を伝えるだけでなく、障害者の現実にも触れ、考えさせる作品が増えている。

昨年11月に発売された『リアル』最新15巻の表紙 (C)I.T.Planning,Inc./週刊ヤングジャンプ

 パラスポーツを扱った漫画の代表と言えるのは、バスケットボール漫画の金字塔『スラムダンク』などで知られる井上雄彦さんが車いすバスケットボールを題材にした『リアル』だ。一九九九年に「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載が始まり、車いすバスケの認知度を大きく高めた。
 三人の若者の物語を軸に、障害を受け入れられない葛藤や周りの人たちの苦悩など、障害があってもなくても、現実と向き合いながら自分の生きる道を探していく姿が描かれる。昨年十一月に六年ぶりの新刊となる単行本十五巻が発売された。休載を挟みながら連載が続いている。

「パラリンピックジャンプ」で連載中の『ブラサカブラボー』のイラスト(c)高橋陽一/パラリンピックジャンプ

 集英社は東京パラリンピックまであと千日(大会延期前)だった二〇一七年十一月、新作のパラスポーツ漫画やパラリンピック情報を集めた雑誌「パラリンピックジャンプ」を創刊した。サッカー漫画の名作『キャプテン翼』の著者、高橋陽一さんにブラインドサッカーを扱った『ブラサカブラボー』を書き下ろしてもらうなど協力を得た。
 『リアル』の担当編集者で「パラリンピックジャンプ」のプロデュースも手掛ける市川光治さんは「五輪は関連雑誌もたくさん出る。二十年以上前から車いすバスケの漫画を載せている集英社は、パラリンピックを応援しようとなった」と話す。健常者のスポーツに比べなじみが薄いパラスポーツも「漫画だったら触れてもらえる」と考えた。
 表紙は井上さんが描き、一冊目では車いすバスケ日本代表に井上さんが密着した観戦記や選手との対談を掲載。車いすテニスや視覚障害者柔道などの競技や、パラスポーツを支える技術者も漫画の題材だ。昨年三月に四冊目を発行、五冊目は東京大会が開幕する昨年八月に出るはずだったが、大会延期に伴い発行も一年延期の予定だ。

◆競技の描写をリアルに

『ブレードガール 片脚のランナー』重松成美著

 さまざまなパラスポーツが、ここ数年、漫画になっている。講談社は、足を失った少女が競技用義足で走る楽しさを知っていく『ブレードガール 片脚のランナー』(重松成美著、全三巻)や、車いすラグビーに目覚めた高校生と周りの人たちの変化を描く『マーダーボール』(肥谷圭介著、全四巻)を出した。

『マーダーボール』肥谷圭介著=いずれも講談社提供

 それぞれ義足製作を手掛ける義肢装具士、日本車いすラグビー連盟が監修し、競技の細かな描写も丁寧に描く。『マーダーボール』では「みんなが楽しめれば良い」と考える選手が「勝ちたい」とプレーするメンバーと擦れ違い「パラスポーツをナメすぎ」と言われる場面もあり、パラスポーツがどうあるべきかも問い掛ける。

『ましろ日』(C)香川まさひと・若狭星/小学館「ビッグコミック」連載

 小学館が「ビッグコミック」に連載した『ましろ日』(香川まさひと・若狭星著、全七巻)は、マラソンを始めて社会に再び出て行く視覚障害者が主人公。伴走者とチームになり東京パラリンピックを目指す物語だが、登場する視覚障害者の中には、はじめは健常者にきつく当たっていた人もいる。気持ちをぶつけ合う中で互いを知っていく人間理解も一つのテーマだ。
 文・神谷円香/写真・恩田則夫
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