電力と農作物、自家製で 農地で発電 小田原の会社が市内にカフェ 小山田社長「全国に広がる前例に」

2021年4月22日 07時14分

オープンしたカフェ=いずれも小田原市で

 5キロ離れた農地で発電した再生可能エネルギーを電力に使う「農家カフェ・シエスタ」が、小田原市成田にオープンした。耕作しながら太陽光発電する「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」に取り組む地元の合同会社「小田原かなごてファーム」が運営する。自家発電・消費は通常、発電所と近くの店などを電線で直接結ぶが、市中の送電網からカフェへ電気を送る珍しい試みという。 (西岡聖雄)
 同社は東京電力福島第一原発事故で危機感を持った市民や地元農家が二〇一四年に設立した。市内二カ所の休耕地を再生し、イモや米を収穫しながら、年に計二百万円近い売電収入も得ている。
 三カ所目となる今回は、カフェの五キロ先に借りた休耕地(千七百平方メートル)に、太陽光発電所(容量七十八キロワット、一般家庭二十五世帯分)を建設。ハッカやラベンダー、大豆や落花生などを植え、売電収入は年百万円を見込む。
 ソーラーシェアリングに加え、電力会社を介した自家発電・自家消費のスタイルにしたことが最大の特徴で、再エネ100%の電気供給を目指す新電力「グリーンピープルズパワー」(東京)が協力した。
 かなごてによると、農地の太陽光発電所とカフェに電力の出入力メーターを設置するなどし、農地で発電した再エネ電力がカフェに届いていることを新電力側が証明する契約という。
 かなごてが収穫した作物、地元の肉や魚の料理をカフェで提供し、食の地産地消も目指す。店員の長谷川美保子さんは「足柄牛の焼き肉丼がお薦め」と笑う。遊休ミカン畑で収穫したミカンを搾る「おひるねみかんジュース」をはじめ、地元産品も販売している。
 固定価格買い取り制度の価格引き下げで、再エネ発電の新規稼働数は全国的に伸び悩んでいる。小山田大和社長(41)は「既存の送電網を使う自家発電・消費の方法は知られていないので、全国に広がる前例になれば。カフェなどと組み合わせることで、再エネ普及のほか、農業を守るソーラーシェアリングへの関心を高めたい」と話す。
 同社は今年、小田原市と愛川町の休耕地に太陽光発電所を新設する。SNSで集う数百人のボランティアが農作業を担うという。
 カフェは国道255号の成田交差点の北百メートル。午前十一時〜午後五時、夜は予約営業。水曜定休。テークアウトもできる。問い合わせはカフェ・シエスタ=電070(8394)0396=へ。

休耕地に建設した3カ所目の太陽光発電所を説明する小山田さん。パネルの下が畑になる


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