“好評”干しいも自販機 農家の黒沢さん考案 ひたち海浜公園 近くに登場

2021年4月22日 07時16分

干しいも自販機を設置した黒沢太加志さん。自販機の陳列棚の下の段に干しいもが並ぶ=いずれもひたちなか市馬渡で

 ひたちなか市馬渡の国営ひたち海浜公園にほど近い国道245号沿いに、一風変わった自動販売機が登場し人気を呼んでいる。その陳列棚には、おなじみのペットボトルのお茶や缶のコーラと並び、干しいもの姿も。この一帯は干しいもの一大産地。設置したのは、近くの農家の黒沢太加志さん(43)で「県外の人にも味わってほしい」と期待する。 (松村真一郎)

ショットバーのような雰囲気の直売所

 「売れ行きは想定以上。これほどとは思ってなかったので驚いた」
 黒沢さんは、自販機のインパクトをそう表現する。赤と黒のチェック柄にあしらわれたオリジナルの自販機は一月に設置された。
 近くには、ネモフィラやコキアなどで有名な国営ひたち海浜公園のほか、大型商業施設もあり、県外客も多く訪れる。県外の新規顧客を増やそうと車から見える国道沿いに設置した結果、最初の一カ月で干しいもが千個も売れた。
 販売されているのは、半生に近い「平干し」(百七十グラム)と、とろっとした口溶けが特徴で一口サイズの「丸干し」(百四十グラム)の二種類で各六百五十円だ。
 市によると、市内と那珂市、東海村の生産農家などでつくるひたちなか・東海・那珂ほしいも協議会に所属する五百七十六軒の農家の中で、自販機による干しいも販売は初めてとみられる。
 黒沢さんが干しいも栽培に携わるようになったのは六年前。干しいも農家に生まれたが、家業は継がずに趣味だったバイクの仕事をしていた。
 ハーレーダビッドソン茨城南店(つくば市)で工場長をしていた二〇一三年末、父が脳腫瘍で寝たきりに。家業をやめることを考え、干しいもの乾燥機を売ろうと設備業者に相談したところ「これから若い人たちも干しいも業界に入ってきて、伸びるのにもったいない」と説得された。
 その言葉がきっかけで仕事を辞め、一念発起して干しいもの世界に身を投じた。ただ、農業の経験はゼロ。一四年十月から半年間、東海村の農家で修業した。
 一五年四月に独立した後も修業先に週一回通い、教わったことを自分の畑でも実践しながら、徐々に農家としての経験値を上げていった。
 新規就農者として顧客を増やすことが課題で、「これまでほかの農家がやらなかったことをしよう」と決意。オリジナルブランド「HIB(ホシイモベース) TAKASHIYA」を立ち上げた。意識したのはバイクのブランドのようなかっこよさだった。
 栽培しているサツマイモの品種「紅はるか」の葉を基にしたロゴマークをあしらった真っ黒の箱に商品を入れて販売した。ほかの農家からは「何が入っているかイメージできない」と苦言もあったが、「百年以上続いているような大きな農家に売り上げや栽培規模はかなわないが、ブランドの点では日本一を目指したい」と信念を曲げなかった。
 自販機から約一キロ離れた直売所も赤と黒を基調に米国のガレージをイメージしたデザインで、一見すると干しいもを販売しているとは思えない。「三年前に建てた直後は、自動車用オイルを売る営業の人が来たこともあった」と笑う。
 開業以来、売り上げは年間二割増の右肩上がり。新型コロナウイルスによる巣ごもり需要で、インターネット販売の売れ行きが伸び、コロナ禍前と比べて売り上げは五割増とさらに増えた。「栽培から加工まで全てオリジナルで作り、軟らかくてスイーツのような干しいもをより多くの人に楽しんでほしい」
 直売所は火、木曜定休。問い合わせは黒沢さん=電080(9096)1110=へ。

関連キーワード

PR情報

茨城の新着

記事一覧