迫力!ストリートダンス脚光 プロリーグ発足 パリ五輪種目にも

2021年4月22日 07時49分

激しいダンスを披露する「フルキャスト レイザーズ」=いずれも東京都江東区で

 曲芸のような離れ業を繰り出すストリートダンスの注目度が急上昇している。国内では1月、チームで演技を競うプロによる「Dリーグ」が発足。2024年パリ五輪では、その一種、ブレイクダンス(ブレイキン)の正式種目入りが決まるなど、ホットな話題が相次いでいる。最前線を追った。 (林啓太)
 きらびやかな舞台で、ダンサー八人の動きがぴたりと一致する。精密機械のようにそろって腕を振ったり、回転させたり。側転やバック転、逆立ちしてこまのように回ることも。迫力のダンスに観客は息をのむ。

華やかなDリーグの舞台と客席。第6ラウンドは、初めて会場に観客を入れて開催した

 三月二十二日、東京都江東区の「ユーセンスタジオコースト」。Dリーグのレギュラーシーズン第六ラウンドは、「フルキャスト レイザーズ」が最高得点をたたき出し、他八チームとの争いを制した。
 Dリーグは、ストリートダンスの公演やダンス情報の配信などを手掛ける企業「アノマリー」(東京)が中心となり、昨年二月に運営会社を立ち上げた。ソフトバンクや第一生命保険など七社が協賛企業として運営費の一部を支える。
 コロナ禍のため、第五ラウンドまで無観客で実施したが、観戦は配信動画でも可能。視聴は基本的に無料とする一方、観戦用アプリで限定動画を視聴したり、審査員らと採点したりする特典付きの有料会員(月額五百五十円)も設定した。
 ストリートダンスは、街角に集う若者の「遊び」と見られがちだが、時代は大きく変化している。アノマリーの社長で、Dリーグ運営会社の神田勘太朗・最高執行責任者(COO)は「ここ十〜十五年ほどで、公演やダンス教室といったストリートダンス市場は急成長した」と説明する。
 背景として、会員制交流サイト(SNS)で「愛好者が自身のダンス動画を共有し、楽しみやすくなった」ことを示す。体育の授業にストリートダンスを取り入れる学校も増えた。五輪採用も決まり、「スポーツ」と認知され、子どもの習い事としても定着。神田COOは、こうした次世代も取り込みたい考えで、いずれは「アートとして評価が高まるよう、Dリーグが後押ししてくれるはず」と期待する。
 ストリートダンスの本家米国では、一九八〇年代に黒人の若者が生み出した絵画や音楽などの「ヒップホップ文化」と密接に関わりながら発展した。当初のサブカルチャー扱いから、今や「芸術」として受容される向きもあり、ストリートダンスも鑑賞の対象として評価されつつある。
 神田COOは「ダンサーがアーティストとして尊重され、世界の主役になる。そんな新しい価値を創造していきたい」と力説する。

◆ブレイキン 日本は強豪国

 日本はパリ五輪で採用されるブレイキンの強豪国だ。Dリーグのコーセーエイトロックスで監督を兼務するISSEI(23)=写真=は一四年、ブレイキンの世界大会「R16 KOREA」(韓国)で三連覇を達成。一六年には日本最大とされるダンス大会「DANCE@LIVE」のブレイキン部門を制した。パリ五輪を見据える二十三歳は、Dリーグについて「レベルの高いパフォーマンスを定期的に披露できるようになった」と歓迎する。
 日本ダンススポーツ連盟の石川勝之・ブレイクダンス本部長によると、パリ五輪でのルールは整備されていない。国際オリンピック委員会(IOC)が主催した一八年ユース五輪のルールがたたき台になる見通しという。課題は採点基準。スポーツとしての勝敗を明確にしつつ、芸術としての魅力を維持することにある。「技術力だけでなく、芸術としての側面についても、人々の理解を得ていかなければ」と強調する。
<Dリーグ> ストリートダンスのプロリーグ。東京を拠点とする9チームが加盟。シーズンは1〜6月で、計12ラウンドを実施。各ラウンドの順位に応じてポイントが加算され、上位4チームによるチャンピオンシップで日本一を決める。優勝賞金は3000万円。各チームとも8人のダンサーが出場。競技に男女別はない。「ブレイキン」「ヒップホップ」「ハウス」「ロック」「ポップ」などのダンスを交えて競い、1ラウンドごとに新しいダンスを披露する。技術や独創性、演出、ファッションなどを基準に採点される。

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