原発近くの町では2%未満…福島の農業再開に地域格差、帰還進まず担い手不足

2021年4月22日 12時00分
 福島第一原発事故から10年。福島県の被災地の農業再開は地域によって大きな開きがある。広野町での営農再開率が80%を超える一方、原発に近く帰還困難区域が残る浪江町や富岡町では2%に満たない。県農業振興課の本馬昌直さんは「まず住環境を整備して人が住めるようにならないと、農業に従事する人も増えない」と指摘する。(福岡範行)
 同課によると、原発事故後に避難指示が出た県内12市町村では計1万7000ヘクタールで営農休止となった。2020年3月末時点の12市町村全体の再開率は32・2%にとどまる。
 被災地は稲作が中心だったが、タマネギのほか、ブロッコリー、サツマイモ、観賞用の花のトルコギキョウなどに挑戦するケースが増えている。いずれも国の復興予算が支えで、県は農地集約で大規模農業をしやすくするなど環境を整えている。

鮮やかに色づいたトマト=ワンダーファーム提供

 避難者の帰還が進まない地域では、農業の担い手不足が深刻だが、改善の兆しもある。原発が立地する大熊町出身で、同県いわき市のトマト農場「ワンダーファーム」代表の元木寛さん(44)は「ここ数年、20~30代の就農希望者が(浪江町や富岡町のある福島県東部の)浜通り地域にも現れている。彼らは希望の星だ」と語る。
 ワンダーファームは被災地でのトマト栽培を目指し、省力化につながる収穫ロボットの開発にも挑む。元木さんは「浜通りは日照時間が長く、ポテンシャル(潜在能力)は高い。もっと栽培を増やしたい」と力を込めた。

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