パイロットの「ヒヤリ・ハット」1年間で初の10件超…15件も報告 羽田新ルートに疑問の声

2021年4月23日 06時00分

羽田空港の新飛行ルートで大井町駅周辺上空を飛行する航空機=東京都品川区で

 昨年3月末に東京都心を低空で飛ぶ羽田新飛行ルートの運用が始まってからの1年間で、航空事故につながりかねない軽微なトラブルなどの事例「ヒヤリ・ハット」の報告が国土交通省に15件寄せられていたことが分かった。窓口となった財団法人「航空輸送技術研究センター」によると、「強風では安全性に懸念がある」など同一飛行ルートで年10件以上が寄せられるのは初めてという。 (宮本隆康)

羽田の都心飛行ルート さいたま市付近から南下し、東京都心の新宿や品川などを低空飛行して羽田空港に向かう。南風の時、午後3~7時のうち3時間程度で運用。1時間当たり最大44機の着陸機を飛ばし、1日当たりの発着枠は50増便となる。

◆横風、急な降下角度に不安

 この報告は、パイロットが危険を感じた事例を多く集めて航空機の安全向上につなげるため同省が2014年に導入した「航空安全情報自発報告制度」。航空関係者から匿名での自主報告を募っている。
 昨年度の報告では、都心ルート運用時の横風や急な降下角度について、安全性を懸念する声が相次いだ。
 このうち5件は横風を受けながらの着陸を問題視。南西の風が多い羽田空港の周辺では、南西方向に降下する従来の千葉県側からのルートでは着陸時に安全な向かい風になるが、新ルートでは南南東に降下するため横風になるという。「不安定になり、あまり経験したことのない揺れ」「着陸をやり直しても、ほぼ同じ条件で進入せざるを得ない」などの声が寄せられた。
 降下角度についても、新ルートでは従来の3.0度より急降下となる3.45度が求められるため「機体のコントロールに苦心した」「騒音対策より安全な進入が大切なのは明らか」との意見もあった。

◆「あえて不利なルートに…」

 現在、横風が強い場合は従来のルートで着陸しているが、報告の約半数がこのルートの積極的な運用を要望している。「天気の状況に応じ、最も安全に運航できる滑走路を」「あえて横風で不利な進入をするのは疑問」などと訴えている。
 国交省の担当者は「パイロットたちと協議し、丁寧に要望を聞いていく。新ルート運用を基本にしながら、安全を第一に柔軟に対応したい」と説明している。

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