もっと引き上げて!62%減必要! 政府が温室効果ガス「30年46%減」の新目標表明

2021年4月22日 21時34分
 「目標は不十分、もっと引き上げて」ー。政府が22日に示した温室効果ガスの排出削減の新たな目標について、東京・霞が関の経済産業省前に集まった若者たちはさらなる上積みを求めた。地球温暖化による気候変動の影響を強く受けるとされる次世代。コロナ禍で目立った活動ができない中でも、声を上げる。(小野沢健太、福岡範行)

経産省前で日本の温暖化対策の強化を求め声を上げる参加者=4月22日、東京・霞が関で

 「気温上昇が続き、豪雨災害も増えている。私たちが大人になったころ、子どもの世代には未来が保障されているのでしょうか」
 都立西高3年の山本大貴さん(17)は経産省前の歩道で通行人に訴えかけた。その周りで、若者50人らが「62%はゆずれない」「削減目標引き上げて」と書かれたプラカードを掲げた。
 政府の新たな削減目標は温室効果ガスの「2013年度比46%減」。これまでの26%減から大幅に引き上げられたが、国際研究機関「クライメート・アクション・トラッカー」によると、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の目標達成のために日本に必要な削減幅は「62%」だという。

経産省前で日本の温暖化対策の強化を求め声を上げる参加者=4月22日、東京・霞が関で

 山本さんはコロナ禍で休校中だった昨年、環境問題に取り組む知人の活動を知って行動に加わった。毎週金曜日に62%への引き上げを求め、学校を休んで抗議する「学校ストライキ」を続けてきた。
 東京都狛江市の大学4年黒河楓香さん(21)は22日、経産省前に1番乗りし、正午から立った。数字は既に固まっていると予想したが、「声を上げる若者がいたんだということを残したかった」。政府の新目標には「目標は高くないとどこかで妥協が生まれるのに、46%でははじめから妥協している」と批判した。

温室効果ガス排出削減目標を「62%」まで大幅に引き上げるようプラカードで訴える黒河楓香さん=4月22日、東京・霞が関の経産省前で

◆「原発の推進は間違っている」

 ハンガーストライキ中の参加者も。デザイナーのeriさん(38)とモデルの小野りりあんさん(31)は19日夜から水と塩だけの生活で、23日夜まで続ける。共感の輪は著名人にも広がり、一緒にハンストを行うと表明した人は350人を超えた。
 eriさんは「温室効果ガス対策で原発を推進するのは間違い。核のごみ問題が解決されないまま稼働することは、国民の安全を脅かしている」と訴えた。
 小野さんは、国際目標の達成には世界全体で10年比45%減が必要とされていることを挙げ「10年で計算すると、世界平均にすら到達していない。どこからこの数字が出てきたのか」と落胆をにじませ、目標の再見直しを政府に求め続けることを誓った。
 原発の是非は判断しづらかったという目黒区の会社員中村萌さん(26)は、福島第一原発の処理水を海洋放出する政府方針のニュースを見て「地元の人を苦しめる原発を使って温室効果ガスを減らすのはよくない」と思った。「みんなが節電を徹底すれば、原発がなくても温室効果ガスを削減できるはず。そういう意識を明確にするためにも、政府はもっと高い目標を示すべきだ」と強調した。

経産省前で日本の温暖化対策の強化を求め声を上げる参加者=4月22日、東京・霞が関で

◆見直し進む30年度電源構成では「目標達成できない」

 温暖化対策強化を政府に求めている企業や自治体のグループ「気候変動イニシアティブ」事務局の大野輝之・自然エネルギー財団常務理事は「経産省で見直しが進む30年度の電源構成では目標は達成できない」と断言した。
 「石炭火力発電をゼロに近づけ、再生エネ比率を45%に上げて目標を確実に実現できる方針をただちに示し、さらに高い目標にチャレンジできる状況にすべきだ」

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