「会社では旧姓使用でも登記簿は…」 夫婦別姓、ビジネス現場で不自由多数 経済界が法改正へ要望

2021年4月23日 06時00分
 結婚する際に夫婦が同姓か別姓かを選べる選択的夫婦別姓制度をめぐり、経済界からも早期実現を求める声が上がっている。約半数の企業は社内運用で旧姓の通称使用を認める。だが、公文書などでは原則、戸籍姓を求められる場合が多く、ビジネスの現場で混乱を招くケースが多い。企業経営者らでつくる有志の会は25日まで、各企業の運用によらず、法改正での根本的な解決を求めて賛同者を募っている。

◆「投資家への信頼、損ねるのでは」

 「経営者は自分の名前を覚えてもらうのが仕事。表に出る姓と登記簿の姓が異なり、投資家への情報に差が出て混乱させてしまう」
 ITベンチャー企業を経営する東京都杉並区の水上駿さん(31)は語る。
 知人とともに会社を立ち上げた水上さんは2017年に結婚。一人っ子である妻の事情で妻の姓に改めた。登記は戸籍姓でなければならないため、妻の姓に変更した。しかし、普段の仕事では旧姓の水上を使用しているため、「投資家が登記簿を取り寄せたら名字が違って信頼を損ねるのでは」と懸念する。
 通信会社で開発を担当する都内の女性(52)は結婚後20年近く、仕事上は旧姓を使う。これまで10件以上の特許を旧姓で出願してきたが、数年前に発明者名は戸籍姓でなければならないと知った。現状では会社の理解があり、発明者名と戸籍名が一致していない状態でも運用に支障はないが、「転職などをした場合は旧姓使用が難しい。特許の実績を引き継ぐには、形だけでの離婚もやむなしか」と不安を募らせる。
 内閣府の2016年の調査によると、企業約4700社のうち「旧姓使用を認めている」と答えたのは49.2%だった。旧姓との二重使用を認める企業数が伸び悩む背景には、実務面でのコスト負担がある。15年以上人事や経理を担当する都内の女性(43)は「口座名義や各種書類ごとに使う名字が異なると管理や確認が大変」と明かす。

◆25日までオンライン署名募集

 企業経営者らは「選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会」を今月発足。法制化を求めて訴訟を起こしたソフトウエア開発の「サイボウズ」の青野慶久社長らが呼び掛け人となり、経営者や役員を対象に賛同するオンライン署名を25日まで募り、政府に提言する。
 事務局の井田奈穂さんは「法的根拠のない旧姓の通称使用は、キャリアや企業実務で負担や混乱を生む。法改正で根本的な解決を目指したい」と述べた。(嶋村光希子)

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