<社説>ミャンマー情勢 ASEANは干渉せよ

2021年4月23日 07時49分
 ミャンマー情勢をテーマに東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が二十四日に開かれる。同国の国軍総司令官が出席するという。内政不干渉の原則は横に置き蛮行の停止を強く求めてほしい。
 首脳会議はインドネシア・ジャカルタで対面方式で開かれる。加盟各国が、ミャンマーのミン・アウン・フライン総司令官に状況の説明を求め、弾圧の停止などを要請する見通しという。
 ASEANは三月の特別外相会議の議長声明でミャンマー情勢への「懸念」を表明したが、国民への弾圧は激化の一方で、犠牲者は七百人を超えた。このため一部の有志国が、臨時の首脳会議開催に動いていた。
 首脳会議の焦点は実質的な事態打開への道筋を付けられるかだ。
 ただ、ASEAN憲章には「内政不干渉」「全会一致の意思決定」の原則があり、過去の声明は各加盟国の立場を酌んだ中途半端な内容になることが多かった。今のミャンマー情勢を巡っても、それぞれの政治体制の違いなどから、加盟国間に温度差がある。
 インドネシアやシンガポール、マレーシア、フィリピンは、国軍が拘束中のアウン・サン・スー・チー氏の解放を求めている半面、タイやベトナム、ラオスはミャンマー国軍に一定の理解を示し、三月の国軍記念日の式典に代表を出席させた。
 ASEANは、ベトナム戦争など東南アジアの安全保障問題に団結して対処するなどの目的で一九六七年に五カ国で結成され、政情が落ち着いた国を追加して加盟国を増やしてきた。
 ミャンマー情勢は、国内問題にとどまらず一部国民が周辺国に避難するなど、国境をまたいだ問題にも発展している。名古屋学院大の鈴木隆教授(国際政治学)が指摘するように「首脳会議は、安全保障問題への対処が発足の大きな目的であるASEANの存在意義が問われる」のは間違いない。
 日本を含めた国際社会が有効策を打ち出せず手をこまねいている間も、国軍が国民を射殺する異常な日々が続く。その不正義を国外に発信してきた日本人ジャーナリストの北角裕樹さんが逮捕、訴追されるなど、数十人の記者が拘束され、報道の自由も侵害されている。
 あらゆる手段でこの蛮行を止めねばならない。ASEAN首脳会議は大きなチャンスだ。間違っても、国軍をミャンマーの政府代表と認める場にしてはならない。

関連キーワード


おすすめ情報