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【東京エンタメ堂書店】

質高い「わかりやすさ」 岩波ジュニア新書 山本慎一編集長

 岩波ジュニア新書は、中学生や高校生をおもな読者とする、他にあまりない個性的な新書です。

 学校の勉強を深めるための副読本、広く社会を知り基礎的な知識を身につけるための入門書、そして友人関係や恋愛の悩みに応えたり、将来の進路を考えたりするうえで役立つ生き方案内として中高生に親しまれています。

 来年創刊四十年を迎えますが、これまでに茨木のり子著『詩のこころを読む』や川北稔著『砂糖の世界史』などのロングセラーを数多く出版してきました。

 特に教育現場でよく読まれていて、学校の授業で使われたり、課題図書に指定されたりすることが多く、入試問題に採用されることも頻繁にあります。

 主体的な学びやアクティブラーニングの重要性が高まるなかで、生徒が自ら学んで考えるための教材として役立てられています。

 ジュニア新書をつくるうえで心がけているのは「わかりやすさ」です。中高生向けだからといって大人の本より質やレベルを落とすわけでは決してありません。

 専門用語を使ったり難解な言い回しをしたりすることなく、最も重要なことを的確に伝えるように工夫を凝らしています。書き手が著名な作家や大学教授であっても、「わかりやすさ」のために、納得のいくまで何度も書き直しをお願いすることもあります。

 内容が濃く、しかも読みやすいので「大人の学び直し」に最適、という評価もいただいています。

 テーマや書き手は、「若い世代にいま伝えるべきことは何か」を、徹底的に議論して決めます。大人の意見を一方的に押し付けるのではなく、中高生が本を読みながら自分で考えることができるようにしています。

 既に選挙権年齢が十八歳に引き下げられ、二〇二二年四月には成人年齢も引き下げられます。ジュニア新書には、環境問題や人権・平和、国際情勢、科学技術などさまざまなテーマの本があるので、若い世代がこれらの本を読んで、広く世の中に目を向けていってほしいと思っています。

 編集部に中高生から感想が寄せられることも多く、学校図書館でジュニア新書を読んでいる生徒に出会うこともよくあります。ジュニア新書を読んでくれる中高生がたくさんいるので心強いですね。

◇お薦めの3冊

◆「正解」ない課題に対し

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 <1>名古谷隆彦著『質問する、問い返す』(929円) 主体的・対話的な学びに注目が集まるなか、教育現場への豊富な取材をもとにさまざまな事例を取り上げます。「正解」のない課題に向き合う、これからの「学び」のあり方について多角的に検討します。「学ぶ」ということはどういうことなのかを改めて考えさせられる本です。

◆激動の30年、テーマ解説

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 <2>後藤謙次著『10代に語る平成史』(972円) テレビの報道番組のコメンテーターとして活躍する政治ジャーナリストによる1冊。消費税の導入、バブル経済の終焉(しゅうえん)と失われた20年、テロとの戦い、沖縄の苦難、日韓・日朝関係、自然災害など、テーマごとにわかりやすく解説します。激動の30年が1冊でわかるコンパクトな現代史入門です。

◆10代向け「生活力」養成本

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 <3>南野忠晴著『正しいパンツのたたみ方』(907円) あなたは二つ折り派? それとも三つ折り派? 悩ましいパンツ問題を皮切りに、ご飯の作り方、お金とのつき合い方、時間の使い方や働き方など、自立した生活に必要な知識をアドバイスします。家庭科の授業から生まれた、10代のためのユニークな「生活力」養成ガイドです。

◆筆者の横顔

<やまもと・しんいち> 1963年生まれ、55歳。学校図書館を訪ねる機会がよくあります。機能的で使いやすく、しかも居心地が良いように工夫されている所が多くて興味深いですね。中高生の皆さんと学校図書館で会うのを楽しみにしています。

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