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【東京エンタメ堂書店】

<小林深雪の10代に贈る本>スクールカースト、SNS… 悩める今の中学生に

 今の中学生ってどんなことで悩んでいるの?「スクールカースト」で、上位グループに入りたい。「既読スルー」「いいねの数を競う」などSNSやスマホ関連、いじめや成績やLGBTの悩みのある子も。10代に読んでほしい3冊です。

◆いいねが欲しい、全力はダサい…だけど

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 <1>水野瑠見『十四歳日和』(講談社、1512円)

 14歳、同じクラスの中2の少年少女たち4人が主人公の連作短編集です。

 「ボーダレスガール」。葉子は、日陰ではなく日向(ひなた)にいたい。イケてるグループに入れたけれど居心地が悪い、その訳は?

 「夏色プール」。たけるは、水泳クラブでずっと一緒だった芙美(ふみ)が気になる。ところが、芙美が先生を好きになり、2人の関係がギクシャクして。

 「十四歳エスケープ」。律は写真投稿SNSの「映(ば)え」をねらって、わざわざ電車に乗って、高いパンケーキを食べに行く。いいねの数とコメントをチェックするのが生活の中心になり、勉強も手につかなくなる。

 「星光る」。大地は、中学生になってから、全力になるなんてダサいと思っている。でも、成績は、いつも学年2位。どうしても勝てない謎の1位が、みんなにいじめられている百井だと気がついて…。

 どの短編も読後感がさわやかで、前向きな気持ちにさせてくれます。昨年の講談社児童文学新人賞受賞作。

◆中3女子、好きになったのは女の子

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 <2>長谷川まりる『お絵かき禁止の国』(講談社、1512円)

 中学3年生の漫画が好きなオタク女子、ハルが好きになったのは、クラスメートのアキラ。でも、アキラは女の子。

 恋する気持ちは、ウキウキして楽しい。でも、自分は同性愛者なのだろうか? 不安に思って、インターネットでいろいろと調べる日々。わたしって、普通じゃないの?

 誰にも秘密にしていた恋。ところが、ある日、ハルとアキラがキスしているところをクラスメートに撮られ、ラインで写真を拡散されてしまう。

 それを知り、ショックを受けた父親には「賛成できない」、母親には「恋愛と友情の区別がついていないだけ」と言われてしまう。そして、アキラの親からは、「もう娘に会わないでください」と連絡が。

 わたしは絵が好きなのに「お絵かきは禁止のはずだ!」とみんなに責められている。

 主人公の叫びが胸にグッと迫ってきます。

 ハルが、自分の家族や姉妹だったら、あなたはどうする? ぜひ考えてみてください。

◆異質な他者とつながるために

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 <3>『友だち幻想』菅野仁(かんのひとし)(ちくまプリマー新書、799円)

 中学生、いや、大人でも、悩みの多くは人間関係だと思います。友だちや家族、身近な人との関係を大切に考え、すごく気を遣っている。なのに、うまくいかないのは、どうしてなのか?

 この本には、誰もが気になる章タイトルが、ずらりと並んでいます。

 なぜいない人の悪口を言うのか/心が休まらない「メール即レス」/同調圧力−友情が強迫になる/「ルサンチマン」(恨み、反感、嫉妬)は誰の心にも生じることがある…など、人の心理や「気に入らない人とも並存する方法」などが、とても読みやすく、わかりやすく書いてあります。

 また、最後の「言葉によって自分を作り変える」の章には、ハッとさせられます。

 異質な他者ときちんと向き合い、つながるためには、繊細な言葉が必要。「ムカツク」「うざい」などという言葉で人を断罪することによって、異質な他者をたちまち排除することは、関係を根こそぎゼロにしてしまいかねない危険性をはらんでいる−。

 「なぜ読書するのか」、その答えが書いてあり、必読です。

<こばやし・みゆき> 『未来を花束にして』(講談社)発売中。

 

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