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【書評】

AI社会の歩き方 人工知能とどう付き合うか 江間有沙(えまありさ)著

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◆専門越えて共に頭を悩ます

[評]坂井修一(情報科学者、歌人)

 今、AI(人工知能)ほどホットな言葉はないだろう。囲碁の名人を打ち負かし、大学入試問題を解き、ショートショートを創作する。やがて人類社会の脅威となるのではないか−そんなことが、まじめに議論されるようになってきた。

 本書は、科学技術社会論(STS)を専門とする著者が「AIと人間社会」について、現在、何がどんなふうに議論されているのかを紹介、整理した本である。AI技術の可能性と課題、産業構造の変化と日本の出遅れ、AIの倫理、社会への応用・展開(社会実装)と人々の反応などがわかりやすく論じられ、最後に「人工知能と社会」の地図が描かれる。

 世の中の多くのニュースが「あれも、これも、こんなことまでできる」とAIを祭り上げているのに対し、本書はAIとは何かを正面から解説し、技術開発と社会への波及効果について、さまざまな専門家集団の動きを俯瞰(ふかん)する。

 考えるべきことは山ほどあり、立場によってアプローチが違ってくる。認知科学者は、「知能とは何か」という科学的探求に執着する。産業界は、巨大プラットフォーマー(ITサービス企業)にどう対峙(たいじ)していくか考えこむ。政治家はサイバーテロや個人情報流出問題に頭を悩ます。

 自動運転の車が事故を起こしたら、誰が責任をとるのか。仕事がAIに奪われてしまったら、われわれはどうやって暮らすのか。個人情報は誰がどこまで使っていいのか。AIの軍事応用は、どうやって歯止めをかけるのか。

 これらに対して、異分野の専門家同士が、用語・性格・価値観の違いを乗り越えて議論を重ねようとする。その困難は私なども日常的に経験しているだけに、著者のようなつなぎやまとめの役割がいかに社会にとってたいせつなものか、実感されるのである。

 AIの社会実装の成否は、人類の未来の明暗を決すること。著者の描いた地図の中で、関係者がベストな協力関係を築き、倫理と経済が両立する選択をとり続けることを願ってやまない。

(化学同人・2160円)

東大政策ビジョン研究センター特任講師。理化学研究所客員研究員。

◆もう1冊

ノーム・チョムスキー他著『人類の未来−AI、経済、民主主義』(NHK出版新書)

 

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