東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 千葉 > 記事一覧 > 11月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【千葉】

生み出せ 廃校から地域力 企業誘致促進へ県が視察ツアー

職員室を改装したカフェ。器などで給食の雰囲気が楽しめる

写真

 閉校した小学校などの空き公共施設への企業誘致を促そうと、県は二十二日、初めてとなる視察バスツアーを企画し、県南東部の長南町と勝浦市を回った。「空き物件や実際の利用状況を見てみたい」との要望に応えたもので、参加した九社・団体の計十八人に対し、地元自治体の担当者らが交通利便性や自然環境を売り込んだ。(村上豊)

 一行はまず長南町へ。昨年三月に閉校し、空き施設となった旧豊栄(とよさか)小学校で出迎えたのは平野貞夫町長。「首都圏中央連絡自動車道(圏央道)が通り、都心から車で一時間圏ですが、自然豊かで田舎度の高い町です」と魅力を説明した。

 町の人口は八千人ほど。若者の流出、離農といった問題を抱え、二〇一〇年に過疎地域指定された。人を呼び込み地域を活性化させることが課題だが、内陸部に位置し、近くの一宮町のようにサーフィンを楽しむ海岸はなく、賃貸物件や宿泊施設も不足する。

 目を付けたのが四つある廃校の利活用だ。すでに使われている施設の一つで、宿泊施設・カフェとして七月にオープンした「ちょうなん西小」に向かった。

 運営するのは就職情報などを手がけるマイナビ(東京)。施設を無償で借り受け、浴室やエアコンなどを設けた。宿泊料は一泊四千円からで、スポーツクラブや大学ゼミの合宿などで利用されて満室状態が続く。

 キッズルームや図書室には地元の人が出入りし、地域の拠点になりつつある。同社の担当者は「運動会や肝試し、盆踊り、学校ウエディングなど、いろいろな楽しみ方があります」と話す。

教室を改装した宿泊部屋にはベッドを装備=いずれも長南町で

写真

 バスは最後、勝浦市の旧清海小学校に立ち寄った。共用のオフィスやワーキングスペースに生まれ変わった施設「シェアキャンパス清海(せいかい)学園」で、市の担当者は「勝浦はイセエビとアワビが有名で、東京まで特急で九十分。この施設は海水浴場まで一分です」と進出を呼びかけた。

 運営するパクチー(千葉市美浜区)によると、オフィスには現在、IT系企業やドローンパイロット養成所など五社・団体が入居。都内から訪れてワーキングスペースを使う人もいるという。

 ツアーに参加した都内のテーマパーク運営会社の社員は「千葉は、羽田と成田の両空港へのアクセスがいいので、外国人観光客向け施設としての需要が見込める」と話した。

 県は十二月二十日にも、南房総市と鋸南町でバスツアーを開催する。

東京から訪れ利用する人がいるワーキングスペース=勝浦市で

写真

◆空き公共施設利活用 8市町に20件が進出

 県内での空き公共施設の利活用は、南房総市が先駆け的に取り組んだ。2014〜16年ごろに7件の企業誘致に成功。ホールがダンス合宿施設、保育所が電子機器の加工拠点、小学校が市民農園・ゲストハウスに変わるなどした。

 県も誘致の支援事業に着手。27市町村と連携し、年2回の説明会を開いて約100件のマッチングをするなどして、16〜18年度(9月時点)で8市町に20件の進出が決定した。現在、26の空き公共施設の利活用を目指している。

 利活用は、自治体にとって地域のシンボル的施設の保持や維持管理の負担軽減、雇用創出による移住定住などの利点がある。一方で、進出企業にとっては設備投資の負担軽減や従業員の多様な働き方の提供などのメリットがあるという。

 各自治体による誘致競争が激しくなるが、ちばぎん総合研究所の五木田広輝主任研究員は「今後は受け入れ態勢の優劣で自治体間の差が出てくる」と指摘。さらに「宿泊施設の誘致では既存のホテルなどと競合して民業を圧迫するおそれがあり、行政は公平性を考える必要がある」と語る。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報