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【千葉】

<2018回顧 取材メモから> 成田空港の機能強化

新たな滑走路の増設などを盛り込んだ成田空港の機能強化案に合意後、記者会見する空港周辺9市町の首長ら=3月13日、千葉市美浜区で

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 成田空港を巡り、国土交通省と県、周辺九市町、成田国際空港会社(NAA)が三月十三日、新たな滑走路の増設やB滑走路の延伸、年間発着容量を現在の三十万回から五十万回に増やすことなどを盛り込んだ「さらなる機能強化策」を実施することで合意した。

 「まさか三本目の滑走路を造れるようになるとは思いもしなかった」。多くの空港関係者がこう語っていた。開港四十周年という節目の年でもあり、激しい反対運動の歴史を知る人たちにとっては、なおさら感慨深いだろう。

 私が前回、成田で勤務していた二〇一四年、国の技術検討小委員会の動向を注視していた人物から「滑走路の増設、本気かもしれない」と聞き、耳を疑ったことを思い出す。異動の間近で取材できなかったが、昨年夏に舞い戻った時にはもう流れができていた。

 政府は観光を成長戦略の柱に据え、二〇年に四千万人、三〇年に六千万人の訪日外国人旅行者を受け入れる目標を掲げた。空港の機能強化はその環境整備の根幹で、実現が絶対条件。失敗は許されないという緊張感が、行政にもNAAにも漂っていた。

 成田市や芝山町など九市町の合意形成は、不安や不満、反対を訴える住民の声を無視できず、年をまたいで延期に延期を重ねた。大詰めでは、国交省出身の事務方が、なかなか決断に至らない首長を公衆の面前で励まし、説得する一幕も。中堅官僚のこうした振る舞いは、国策であることを強く印象付けた。

 そして年の瀬を迎え、今度はA滑走路で運用時間を午前零時まで一時間延長し、午後十時台の便数制限を廃止する時期をいつにするかの議論が本格化した。二〇年東京五輪・パラリンピックまでの実施で合意済み。そのタイミングは、世界規模の航空ダイヤ改正に合わせた一九年十月末の冬ダイヤからか二〇年三月末の夏ダイヤからしかない。

 NAAと国交省は、運用時間延長で施設の維持管理や空港アクセス、店舗などのサービスが変化すると想定。「五輪を万全の体制で受け入れるために事前の十分な準備期間が必要。一九年冬ダイヤからの実施が望ましい」との考えを周辺市町に示し、理解を求めている。

 地元経済界は同調し、成田空港と地域の繁栄を目指す有志の会(会長・山崎和敏・前多古町商工会長)が「内窓などの騒音対策も開始され、何ら問題がない。早く時期を公表し、準備を本格化させてほしい」との緊急提言をまとめた。

 一方、九市町は主張が割れている。山武市の松下浩明市長は「市議会全員協議会では誰ひとり賛成意見がない。合意は仕方ないが、半年の時間をください、ということ」と述べ、横芝光町の佐藤晴彦町長は「普通の感覚は二〇年夏ダイヤ。地域振興策が見えてこないのが問題」と懸念した。

 自治体関係者は「今のままでは折り合うことはない」と断言。九市町の協議会は、住民の不安払拭(ふっしょく)を中心に再検討するようNAAに要請しており、腹の探り合いが続く。(小沢伸介)

 

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