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【千葉】

佐原三菱館、当初の姿へ 大震災で立ち入り禁止 香取市が復元方針

耐震補強と保存修理工事の準備が進む佐原三菱館=香取市で

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 東日本大震災の影響で立ち入り禁止になっている香取市佐原の三菱銀行佐原支店旧本館「佐原三菱館」について、市は2019年度から3年間かけ、耐震補強とともに1914(大正3)年の建築当初の姿に復元する方針を明らかにした。古い町並みのシンボルとなった近代洋風建築の再生に向け、関係者から喜びや期待の声が上がっている。(小沢伸介)

 東京駅丸の内駅舎と同じ年に誕生したレンガ造り二階建ての県指定有形文化財。レンガと花こう岩で構成されたルネサンス様式のデザインで、屋根にドームがある。内部は吹き抜けで、二階の周囲を回廊が巡っている。二三年の関東大震災や八七年の千葉県東方沖地震に耐え、八九年に新店舗が隣にできるまで現役の銀行として使われてきた。

 折しも、町並みを活用した地域おこしを目指す機運が高まり、市民の強い要請もあって銀行が市に寄付し、観光案内所に生まれ変わった。内部には町並みの案内図を掲げ、地元の画家らが個展を開いたり、正月に特大の書き初め作品を展示したり、観光客にも地域住民にも愛されてきた。

 しかし、二〇一一年の東日本大震災で壁面にひび割れが生じるなどのダメージを受け、利用者の安全面に配慮して閉館。同時に、町並み一帯では屋根瓦が落ち、土蔵が崩れるなど、伝統的建造物の三分の二が被災。また、香取市全体では液状化被害で家屋や道路、河川、農地、上下水道などに甚大な被害が出た。

 震災から八年。町並みの屋根を覆っていたブルーシートはほぼなくなった。佐原三菱館に隣接する観光案内所「佐原町並み交流館」の年間入場者数は震災を機に五万人も減少したが、タイなどからの訪日外国人客の増加もあり二年前に十二万人を超えて震災前の水準に戻っている。

 佐原三菱館の耐震補強と保存修理工事は、市にとって震災復興関連の最後に残った大事業となる。新年度当初予算案に、三年間の継続費として六億三千万円余りを盛り込んだ。歳入は国庫補助金でほぼ半額を充て、残りを県支出金と合併特例債でまかなう。

 昨年から実施設計のための予備調査で部分的に解体し、市に寄付された際にはなかった暖炉の基礎部分が確認できた。同じように撤去されていたらせん階段も造り直すという。市教委生涯学習課の担当者は「国指定の有形文化財への格上げを視野に入れている」と説明する。

 交流館の高谷正弘館長(64)は「重厚感があり、採光が巧みな合理的な建物。町並み保存にかかわった人たちにとって特別な存在だし、何度も訪れる観光客は入館を切望している。かつての佐原繁栄のシンボルがどう復元されるか楽しみで、また見てもらえる日が来るのが待ち遠しい」と話している。

 

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