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【千葉】

<新時代にはばたく 平成世代の夢>多様化する農家支援 松戸で農業IT会社起業・桜井杏子さん(28)

「ITで農家のサポートをしたい」と話す桜井杏子さん=千葉市緑区のガイヤファームで

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 祖父が東京農大で教授をしていて、おいしい農作物を小さいころから食べてきました。農業の現場技術を極めようと、二〇〇九年、祖父が卒業した千葉大園芸学部(松戸市)に入学しました。

 大学時代は農業にIT技術が入り始めたころ。面白そうだと米農家の母に話しても「全然現場に即していない。いらん」と言われて。でも、大学生のころから農業の現場で必要なIT技術を手がける会社を起業したいと思っていました。大学卒業後は民間企業で勤務しながら、起業の準備を続けてきました。

 農業IT会社「INGEN」(本社・松戸市)を立ち上げたのは一五年二月。最初の一年は千件ほど農家を回り、ITに求められていることが何かを訪ねて歩きました。すると、農作物の病気や害虫を減らすための情報がほしいとの声が多かった。

 病気の原因別に肥料と農薬のおすすめをするウェブサービス「農の相棒Mr.カルテ」を開発し、今夏に販売を始めます。農家が農薬と肥料を効率よく使って収穫量を上げる提案をしていくつもりです。

 私にとって一番の平成の出来事は、農協の多様化です。昭和のころは食料自給率を上げることを考えていた農協が、平成に入ると食べ物のニーズが多様化し、地域に合った農協にならないと生き残れなくなった。

 これまでの農協は肥料の販売や畑の医者的な役割などを担ってきましたが、農協によっては農家に肥料の指導などをする営農指導員が減り、農家自身が畑のお医者さんにならないといけない時代になりました。

 今後はITになじみのある平成生まれの人たちがベテラン農家になる時代です。自分の味やブランドを作れるようになり、生産量を増やそうと、条件の異なる畑で同じ品質の作物を作るとなると、職人技だけではできません。持続的に安定しておいしい品質を出荷するには、病害対策を自分で判断できるようにならないといけない。

 小さい畑に人を集めて作っていたスタイルから、少人数で複数の畑を管理するように変わってくる。だからITが必要になってきた。作業の一部をITに任せることで、農家が品質を研究する時間をつくることができる。そのサポートをしたいです。 (黒籔香織)

<農協改革> 2019年9月末までに全国農業協同組合中央会(JA全中)を現在の特別民間法人から一般社団法人にし、JA全中が担っていた全国の地域農協に対する監査権限をなくすなどの改革。これらを定めた改正農協法は15年8月に成立し、16年4月に施行した。

 JA全中が設立した1954年以来約60年ぶりの抜本的な改革で、各農協の自主的な取り組みを促し、農業の活性化を目指すのが狙い。

 

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