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【千葉】

子どもの成長を見守り半世紀 君津の駄菓子屋「やつ商店」

50年の感謝を込め記念イベントを開く、やつ商店の水越たみさん(右)。左は長女の則子さん=いずれも君津市坂田で

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 昭和から平成、令和にわたって、子どもたちの成長を見守ってきた君津市坂田の駄菓子屋「やつ商店」が六月一日に開店五十年を迎える。一〜二日に、記念イベントを開く。店主の水越たみさん(78)は「体に気を付け、子どもたちといつまでも触れ合っていきたい」と目を細める。 (山田雄一郎)

 「10円や5円のおかしがあってやすいなと思いました」「おやつが100しゅるいあるなんてびっくりしました」「また遊びにいきたいです」

 店の壁に飾られている手紙は、体験学習の一環で訪ねた地元小学生から届いた感謝の言葉の数々だ。薄暗い店内には、ガムやチョコ、キャンディーといった駄菓子が所狭しと並び、昭和のたたずまいを今も残している。水越さんは「子どもたち同士で話したり、いすに座っているのを見ると、ほっとします」と笑う。

 一九六九年に夫の隆彦さん(故人)と「やつ商店」を開業。もともと半農半漁で生計を立てていたが、八幡製鉄君津製鉄所(現日本製鉄君津製鉄所)が操業したのに伴い、漁業権を放棄。区画整理で農業もできなくなったため、自宅を改装した。

 当初は文具と日用雑貨を扱っていたが、大型スーパーやコンビニエンスストアの進出で客足が減少。「子どもとしゃべるのが大好き」というたみさんが考えたのが駄菓子屋への「業態転換」。付近の山の上には、県立君津高や市立の周西中、坂田小、大和田小があり、「ふもとの駄菓子屋」として、地元の子どもたちの交流の場となった。隆彦さんが亡くなった後は、店番だけでなく仕入れから経理まで、たみさんが一人でこなしている。

 最盛期は一日約百人の子どもが訪れ、店でおしゃべりしたり、ゲームを楽しんだりしたが、少子化の影響なのか訪れる子どもは激減した。「つらい気持ちもあります。今の子は家で友だちとゲームをしてますからね」。言葉に寂しさがにじむ。

 それでも卒業生が、子どもや孫を連れて店を訪れたり、成人式の後に大勢で顔を見せて「おばさん元気でね」「また来るからね」と言ってくれるのが励みになっている。中日ドラゴンズの与田剛監督=坂田小、周西中出身=は小中学校時代の常連客で、五年ほど前に店に顔を出してくれた。

 記念イベントでは、無料のわたあめ作りを体験できるほか、先着五十人(中学生以下)に駄菓子をプレゼントする。一緒に店を切り盛りする長女則子さん(57)が「地域の恩返しに」と提案した。たみさんは「この機会に『やつのおばさん』にお顔を見せに来てください」と数々の出会いを心待ちにしている。

 記念イベントは一、二日の午前九時〜午後六時。問い合わせは、やつ商店=電0439(52)1050=へ。

子どもたちに愛されてきた「やつ商店」

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