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【千葉】

「もらい湯」最後のふれあい 来春統合の君津・秋元小 児童の地域愛育み15年

「もらい湯」に訪れた子どもたち(手前の3人)と談笑する仲原明さん、美喜子さん夫妻=君津市東猪原で

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 来年3月で146年の歴史に幕を閉じる、君津市西粟倉の市立秋元小学校(大野喜弘校長)の児童らが17、18の両日、近くの高齢者宅を訪ね、入浴後に触れ合う「もらい湯」を体験した。15年間続いた行事だけに寂しさを覚える高齢者もいたが、子どもたちの健やかな成長を願い、最後のおもてなしを楽しんだ。 (山田雄一郎)

 もらい湯は、地域を愛する心をはぐくんでもらおうと、児童が二〜三人に分かれ、協力家庭の風呂で一日の汗を流すもの。学校が企画するもらい湯は県内で珍しいという。校舎に隣接する公民館に寝泊まりしながら、教室で授業を受ける「通学合宿」の一環。最後の通学合宿は十七〜二十日の三泊四日で行われ、四〜六年の全児童二十四人が参加した。

 十八日夕、山奥の同市東猪原、農業仲原明さん(72)宅を訪ねたのは、六年の平田優羅(ゆら)さん(12)、五年の金見優菜(ゆうな)さん(10)、四年の長谷川万桜(まお)さん(10)の女児三人。洗面用具を持参し、玄関をくぐると、仲原さんの妻美喜子さん(66)が笑顔で湯船に案内した。「がんばってぴかぴかにしておきました」と美喜子さん。秋元小の児童の特徴について、仲原さんは「明るい。下級生と上級生の垣根がない」と目を細める。

 仲原さん夫妻がもらい湯の協力家庭となったのは約七年前。長女と長男はすでに独立。児童の力になれればと思い、これまで二十人近くを受け入れてきた。

 約三十分入浴した三人は「気持ち良かった」「さっぱりしました」と笑顔。洗い立ての黒髪を輝かせ、茶の間に通されると、ショートケーキを口にしながら、雑談を楽しんだ。

 「万桜ちゃんのおじいちゃんのお母さんに、僕は学校で教えてもらったんだよ」「昔、プールがなかったころは川で泳いでいた」と仲原さんが話すと、三人は「ええっ」と、ちょっと驚いた様子。将来の夢、彼氏のあるなし、先生の評判…。話題は尽きず、つかの間のだんらんを楽しんだ。

 辺りが薄暗くなり、平田さんが学校のチェックシートを示し、「お家の方から一言」欄に記入を願い出た。仲原さんは「楽しくお話しできました」、美喜子さんは「みんなハキハキしてとても良かった」と記した。「ありがとうございました」。感謝の言葉を伝えた三人は迎えの車に乗り込むと、次の行事のキャンプファイアに向かった。

 「これが最後になると思うと残念」と仲原さん。それでも「私たち夫婦にとっては孫のような存在。明るく元気で、素直な子に育ってほしい」と語った。

 秋元小は三島小と統合し来年度、清和小学校として生まれ変わる。

 

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