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【千葉】

「流山の文化、崙のおかげ」 地域根差した出版たたえ 「崙書房」に市感謝状

井崎義治市長(右)から感謝状を贈られた(左から)金子敏男さん、小林規一さん、吉田次雄さん=流山市役所で

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 経営難で今月いっぱいで解散し、半世紀の歴史を閉じる流山市の地方出版社「崙(ろん)書房」の功績をたたえ、同市は24日、感謝状を贈った。同席した作家は「崙のおかげで流山の文化がある」と称賛した。 (林容史)

 感謝状を受け取ったのは社長の小林規一(のりかず)さん(72)をはじめ社員の金子敏男さん(71)、吉田次雄さん(68)。

 井崎義治市長が「創業以来、地域に根差した出版物を数多く刊行し、地域文化の向上に貢献した」と三人をねぎらった。

 小林さんは「五十年に一年足りず、やめる決断に至った」と無念さをにじませながらも、「流山の崙書房を名乗ってきた。まちの景観や空気、支えてくれた人々、流山という場所に感謝の気持ちでいっぱい」と謝辞を述べた。

 最古参の金子さんは、自身も出版に携わった全六巻の「利根川図志」(赤松宗旦)を手に取り、経営難を乗り越えてきた時代を懐かしんだ。吉田さんは、著者の取材に同行しながら仕事を覚えた思い出を披露、「地域に愛された会社の一員として働けてうれしい」と話した。

 書き手として同社を支えた著者二人も同席。作家のリーダー的存在で「新・利根川図志」などの著書がある旅行作家の山本鉱太郎さん(89)は「こんな出版社が田舎にあるのかと驚いた。崙と心中すると決めていたのに」と声を詰まらせた。

 熱心な読者から書き手に転じ、「牧」シリーズなどを出版した郷土史作家の青木更吉(こうきち)さん(86)は「小林さんにつつかれ、応援してもらって十五冊を書き上げることができた」と感謝した。

 崙書房は一九七〇(昭和四十五)年に創業。県内の歴史や自然、地理、人物などを取り上げた本を出版してきた。七七年にスタートした新書サイズの「ふるさと文庫」は、地元の書き手が中心となって執筆、利根川、新選組、流山電鉄といった地域にまつわる題材を掘り下げた。シリーズは今年五月までに二百十七タイトルを数えた。

 しかし、同社の書籍を扱う地域の書店が相次いで廃業、読者の減少もあり売り上げが落ち込んでいた。

 

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