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【千葉】

<つなぐ 戦後74年>日章旗、故郷・木更津に 吉田さん遺族に返還 米兵保管

吉田一郎さんの日章旗を手にする(左から)遺族の長谷川伊公子さんと高木宏子さん、デイナ・バトラーさんと娘のクリステンさん=木更津市役所で

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 太平洋戦争で木更津市から出征した男性の日章旗(縦七十センチ、横九十センチ)が神奈川県に住む遺族らに返還された。米兵が大切に保管していたもので、戦後七十四年を経ての「帰郷」となった。

 男性は木更津市木更津に住んでいた故吉田一郎さん。戦前から市内の酒屋「川要(かわよう)」を営み、四人の子宝に恵まれたが、病のため、約四十年前に六十九歳で亡くなった。

 日章旗は戦時中、カナダ空軍に所属していた米国人ウィリアム・ストロンボスさんが所有していた。ストロンボスさんの遺族が三年前、遺品を整理していた際、トランクに日章旗があるのを発見し、大切に保管していた。

 九日に市役所で行われた返還式には、吉田さんの長女高木宏子さん(75)=神奈川県三浦市=と次女長谷川伊公子(いくこ)さん(72)=同県横須賀市=が出席。ストロンボスさんの娘デイナ・バトラーさん(58)、孫娘クリステン・バトラーさん(28)が米国から駆けつけた。クリステンさんが、日章旗返還に取り組む「OBONソサエティ」(米オレゴン州)の活動を、テレビ番組で知り、家族で相談して返還することにした。

 ストロンボスさんが日章旗を手に入れた経緯は不明。日章旗には当時の木更津市長名があったほか、日の丸を囲むように、市役所職員の寄せ書きがある。絹製で保存状態は良く、目立った汚れもない。

 同ソサエティから日本遺族会を通じ、木更津市遺族会に照会があったが、当初は身元の確認が難航。寄せ書きに名前を連ねた渡辺良郎さん(96)=同市中里=が「市役所に出入りしていた業者に、川要の吉田さんがいた」と証言したことで、本人と確認が取れた。

 吉田さんの出征先は定かでない。高木さんによると、吉田さんは母親が妊娠中に出征。木更津から海軍航空隊のあった茨城・谷田部まで、生まれたばかりの高木さんを抱いて面会に訪れたという。

 高木さんは「父の遺族を探すのは大変な苦労だったと思う。米国からお越しいただき本当にありがとうございました」とバトラーさん親子をねぎらった。

 バトラーさんは「運命的な返還式に感謝します。(日米関係が)平和と信頼にあふれ、皆さんが喜びに包まれますように」と涙ぐんだ。 (山田雄一郎)

 

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