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【千葉】

<つなぐ 戦後74年>「戦争、絶対にいけない」 世界記憶遺産画家・木内信夫さん、柏で講演

「戦争、絶対やってはならない」と訴える木内信夫さん(中)と長男の正人さん(右)=柏市で

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 太平洋戦争後の旧ソ連での抑留体験を描いた水彩画が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に登録されている木内信夫さん(95)が、柏市内で講演し、平和の尊さを訴えた。「戦争で一番損をするのは庶民。絶対やってはいけない」。繰り返し強調した。

 陸軍の飛行兵だった木内さんは、満州(現中国東北部)で終戦を迎え、ソ連の捕虜となって、シベリア鉄道でウクライナの強制収容所に送られ、約二年半を過ごした。講演では作品を示しながら、過酷な抑留生活を振り返った。

 雪道で材木を運搬する様子を描いた絵については「本当は真っ黒にしなければいけない。夜中に働かされたので」。仲間が亡くなった場面の絵で、降りしきる雪に関して「日本と違って湿り気がない。粉のような雪だった」と話した。

 こうしたつらく、切ない情景とともに、紹介されたのは、ドイツ人やイタリア人を含む捕虜たちが、監視のソ連兵や地元の子どもたちと一緒に、音楽や遊びを楽しんでいる作品。

 木内さんは「昨日まで戦っていた兵隊や子どもたちなのに、みんないい人ばかりだった」と指摘し、続けた。「戦争はみんなきらい。私が子どものころに受けたような教育によって、相手を憎むようになる」

 講演には木内さんの長男で、作品を紹介するホームページを運営する正人さん(55)が同席。正人さんは、インターネットがあまり普及していなかった一九九六年に作品公開に踏み切った理由を「戦争は被害者対加害者の視点で語られることが多い。ステレオタイプの戦争観ではなく、父の作品に通底している『人間と人間』で考えられないかと思った」と明かした。

 講演は、柏駅南口のかしわインフォメーションセンターで十五日まで開かれた「シベリア抑留イラスト展」の関連で企画された。

 (堀場達)

 

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