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【千葉】

<ものづくりの現場へGO!> ヤマサ醤油(銚子市)

熟成中のしょうゆの香りが漂う仕込み蔵を見学する人たち=いずれも銚子市で

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 日本を代表する香り−。それは、しょうゆだ。私たちが慣れ親しんだ、食欲をそそる「良いにおい」は、実に三百種類もの香り成分で生み出されているという。大豆と小麦にこうじ菌を混ぜ、塩水を加えて数カ月発酵・熟成させただけ。微生物の力は偉大だ。

 「製品を詰めて包装する作業は成田市の工場で行うようになり、すべての工程を見ていただくことはできませんが、広い工場内を歩いて移動しながら、香りの変化を感じられるのが醍醐味(だいごみ)ではないでしょうか」。ヤマサ醤油(しょうゆ)工場見学センター(銚子市)の河上美幸さん(47)は、魅力をこう説明する。

 まず案内される高さ約二十メートルの円筒形の原料サイロを見上げると、土っぽいにおいを感じる。直径十八メートルのドーナツ状の床を回転させながら原料を混ぜる「こうじ室(むろ)」は、きな粉のような香りが立ち込めていた。

醸造の歴史を学び、商品の試食などもできる「しょうゆ味わい体験館」

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 大豆を高温高圧で蒸す建物では、ベルトコンベヤーに載ったモコモコした固まりが湯気を上げて落下していくさまを窓越しに見ることができる。香ばしいにおいは屋外まで漏れている。もろみを入れた深さ三メートルの大きなタンクが並んだ仕込み蔵に入った瞬間、「あぁ、いい香り!」。

 締めくくりは、導入三年目のバーチャル体験コーナー。木おけを模した場所に入ると、もろみが発酵するプツプツ音とともに床面に投影されたもろみの映像がだんだん濃くなり、やがて赤い液体に変化する。足踏みしたり、床を手でたたいたりすると波紋が広がる仕掛け。においはないが、子どもたちに人気のアトラクションとなっている。

 しょうゆは全国各地でその土地の食材に合うようレシピを工夫して造られた地域性豊かな食品。ただ、江戸時代初期の一六四五年創業のヤマサ醤油の場合、必ずしもそうではない。海流の影響で夏涼しくて冬暖かく、湿度が高い気候と、江戸の発展を見込んで、紀州出身の浜口儀兵衛が銚子に醸造技術を持ち込んだのが始まりとされる。

 こうした歴史や醸造方法などを紹介する二十分の映画を上映するほか、入場無料の「しょうゆ味わい体験館」でパネルや昔の道具類を見学することもできる。

 体験館で人気ナンバーワンの「しょうゆソフトクリーム」は、一口目の強烈な違和感にもすぐ慣れ、コク深くて癖になる味わい。工場の売店だけで販売している「ソヤノワール」(百十五ミリリットル入り、税抜き六百四十八円)は、うま味成分が普通の一・五倍以上あるしょうゆで、いためただけの野菜が驚くほどおいしくなるそうだ。 (小沢伸介)

<ヤマサ醤油工場見学センター> 銚子市北小川町2570。JR銚子駅から徒歩7分。工場見学は事前申込制で、映画上映を含め所要約50分。受け付けは9時〜11時と13時〜15時。無料。土、日曜日は映画上映のみ。問い合わせは同センター=電0479(22)9809=へ。

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