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【千葉】

佐倉宗吾一代くどき、後世に 柏・いちかわさん、あす成田の祭で披露

佐倉宗吾が幕府に直訴し、家族とともに処刑されたいきさつを記した「地蔵堂通夜物語」(複製)を手にするいちかわさん(左)と中村さん=柏市で

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 江戸時代の義民をモデルにした日本の代表的な叙事民謡「佐倉宗吾(そうご)一代くどき」の復活に、柏市の熟年男性が取り組んでいる。宗吾を慰霊する「御待夜祭(おたいやさい)」(成田市)で三十一日、独習した語り口を披露する。 (堀場達)

 祭の舞台で、一代くどきを演じるのは、柏市大津ケ丘のフリープランナー・いちかわただおさん。いちかわさんは五年前に、広告会社を退職後、民話や伝説などを、地元の小中学生らに語り継ぐ活動を始めた。

 父親がアイルランド出身の作家小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が好きで「英語の原文を和訳したり、朗読したりしているうちに、ハーンの著作のほかの口伝や語りへの関心が深まった。特技を子どもたちのために生かしたい」。いちかわさんは、活動のきっかけを明かす。

 重税の減免を求めるため、禁令だった幕府への直訴を決行、家族ともども処刑された佐倉藩領内の名主・佐倉宗吾の生涯をつづった一代くどきは、柏市史の編さん委員長を務める中村勝さん(79)が語りの題材にするよう、いちかわさんに勧めた。「このくどきは、幕末に流行し、中国地方や京都などで最近まで残っていたが、今は演じる人がいない。後世に伝える必要がある」と中村さん。

 中村さんは、一代くどきの文言を記した資料を提供し、そらんじられるように練習してもらった。いちかわさんは「昔の言葉なので、英語の語りより、覚えるのが難しかった」と話すが、一年がかりでマスターし、今年六月、市内で中村さんが佐倉宗吾について講演した際、人前で初めて演じた。

 中村さんは「くどきの内容は史実と異なり、あくまで伝説だが、こうした伝説が、なぜ広まっていったか、背景を考える上でも、継承は大切」と強調する。いちかわさんは「佐倉宗吾のような人物が身近にいたことを知り、深く学ぶための糸口にしてもらえれば」と話す。

 御待夜祭は三十一日と九月一日、成田市の京成線宗吾参道駅から徒歩十分の宗吾霊堂で開かれ、いちかわさんは初日の特別奉納舞踊大会に出演。午後四時ごろから十分くらいかけて、一代くどきを語る予定だ。

<佐倉宗吾> 江戸時代の初め、佐倉藩領の公津村(現成田市)に住んでいた名主の木内惣五郎がモデル。惣五郎は、重税に苦しむ農民のため、藩政に抗議したことによって刑死したとされるが、幕府への直訴などを裏付ける史料はなく、実際に起こした行動などについては諸説がある。歌舞伎や芝居、一代くどき、江戸時代後期に成立した実録本の「地蔵堂通夜物語」などを通じて、義民伝説が広く知られるようになった。

 

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